看護師として転職したいけど、自己PRを書くのが難しいと感じている方は多いです。書類選考や面接において、自己PRは合否に関わるため重要です。自己PRと志望動機との違いがわからず、どのように書くべきか悩む方もたくさんいます。
この記事では、看護師の転職における自己PRの基礎知識から具体的な書き方、状況別のアドバイスまで解説します。具体的な例文も紹介するので、参考にして転職成功につながる自己PRを作成してください。
自己PRの基礎知識
自己PRは、自分の強みを転職後にどのように活かせるかを説明する文章です。転職の合否に大きく影響するので、しっかりと作り込む必要があります。自己PRを上手に書くために、志望動機との違いや企業が何に着目しているかを把握しましょう。
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志望動機との違い
自己PRを上手に書くためには、志望動機との違いの理解が欠かせません。自己PRでは自分の強みや実績をアピールし、志望動機では志望している企業や職場でなぜ働きたいかを伝えます。自己PRでは強みや過去の実績を述べ、転職後にどのように活かせるのかといった再現性をアピールする文章です。
志望動機ではなぜ志望しているのか、どのような点に魅力を感じるのかなどの企業に対する魅力を伝えます。自己PRと志望動機は目的や内容が異なるので、正確に区別しておくと採用担当者に上手にアピール可能です。
自己PRの選考ポイント
自己PRによる選考は、いくつかの要素に基づいています。採用担当者が確認している主な選考ポイントは下記のとおりです。
- 過去の経験や実績
- 応募先が求める人物像とのマッチング
- 応募者の強み
- 志望動機との整合性
- 誠実さと熱意
自己PRでは自分のできることと応募先の求めることのマッチングが重要です。自己PRの選考ポイントを押さえることで、応募先へ効果的にアピールできます。
看護師の自己PRの書き方
自己PRは看護師の転職にとって重要です。自分の強みや経験の明確化により、採用担当者に自分の魅力を伝えられます。自己PRを上手に書くためには、下記項目を意識しましょう。
- 自分の経験と強みを洗い出す
- 志望動機と明確に区別する
- 具体的なエピソードを盛り込む
- 強みを活かすイメージをつける
- 長期的な勤務意欲を示す
自分の経験と強みを洗い出す
自己PRには、自分の経験と強みの洗い出しが重要です。経験と強みの洗い出しにより、自分の看護キャリアを振り返りましょう。振り返ることで自分の経歴やスキルが詳細に把握でき、自分の強みを明確にできます。下記項目を参考に洗い出しをしましょう。
- 看護学校卒業からの臨床経験
- 担当した診療科や病棟の種類
- 具体的な治療やケアに関する経験
- チーム医療での役割とコミュニケーションスキル
- 患者や家族との信頼関係を築く能力
項目の洗い出しにより、自分の経験と強みが見えてきます。洗い出した項目をもとに、自分の経験と強みを詳しく分析して具体的に書き出すと、自己PRの質が向上します。
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志望動機と明確に区別する
志望動機と自己PRを明確に区別することも重要です。志望動機と自己PRは伝えるべき内容が全く異なります。違いを理解していないと、どちらも曖昧な内容になりかねません。伝えたい内容を明確にし、適切な内容で自己PRする必要があります。
志望動機は、応募先の職務内容や理念などに対する自分の関心を示す項目です。応募先の病院の理念や看護方針に共感した点を述べることで、採用担当者はミスマッチがないかを判断できます。自己PRは、過去の経験やスキルを通じて、自分の仕事における役割を伝えます。
志望動機と自己PRの違いがわからないと、どちらも中途半端になり、採用担当者に良い印象を与えられません。志望動機と自己PRの区別により、応募書類での評価を高められます。
具体的なエピソードを盛り込む
看護師の自己PRには具体的なエピソードの盛り込みが重要です。具体的なエピソードを通じて、経験やスキルを明確に伝えられます。エピソードの一例は下記を参考にしてください。
- 新人看護師の指導役として貢献した経験
- 患者の家族と信頼関係を築き、安心させたエピソード
- 医療ミスを未然に防ぎ、チーム全体に認識を広めた経験
具体的なエピソードを通じて、転職先でも再現ができる経験やスキルを採用担当者にわかりやすくアピールしましょう。具体例により自己PRは説得力を増すので、積極的に盛り込むことが重要です。
強みを活かすイメージをつける
自分の強みを活かせるイメージをつけることも説得力のある自己PRには欠かせません。強みを活かすには、まずは自分の強みの明確化が重要です。自分の強みと職務内容との関連性を明確にしましょう。強みがどのように具体的な業務シーンに結びつくのかを説明できると、採用担当者へのアピールにつながります。
コミュニケーション能力が強みである場合、患者や同僚とどのように信頼関係を築いたかを具体的に挙げて説明します。強みが実際の業務にどのような影響を与えるかを伝えましょう。強みが患者や同僚に与える影響を同時に伝えると、より効果的です。
ポイントを押さえることで、自分の強みが応募先でどのように活かせるかを具体的に伝えられます。
長期的な勤務意欲を示す
長期的な勤務意欲は、転職するうえで重要な要素です。企業は長期間貢献してくれる社員を求めているので、長期間働く意欲をアピールすると効果的です。入社後に達成したい目標やキャリアプランを明確に示しましょう。
自分のスキルや経験が長期的にどのように貢献できるかを説明すると、企業に対してアピールできます。今までの職場で長期間勤務した実績のアピールもおすすめです。職場環境やチームの一員としての適応力のアピールも効果的です。長期的な視点で自己PRすると、企業は長期間にわたって貢献できる人材だと理解できます。
【状況別】看護師の自己PRの書き方
自己PRは、自分の置かれている状況によって書き方や書くべき内容が異なります。それぞれの状況に応じた書き方をまとめたので、参考にしてください。
転職回数が多い場合
転職回数が多い場合、転職してきた理由を前向きに説明することが重要です。転職回数が多いことを強みの一つとし、新しい環境での適応力やスキルの習得をアピールしましょう。採用担当者は転職回数が多いことに不安を感じるため、転職経験を強みとしたアピールがおすすめです。
過去の職場で得た具体的なスキルや実績を記載しましょう。「複数の職場で働いた経験から、さまざまな看護方法や環境に対応する能力が身に付いた」のようなエピソードが一例です。長期的なキャリアプランを明確にすると、転職回数の分だけ成長の機会があったと伝えられます。
ブランクがある場合
ブランクがある場合は、ブランク期間中に行った活動や学習について、具体的に説明しましょう。ブランク期間中も自己研鑽を継続していたとアピールでき、学習意欲も伝えられます。学習内容の一例を下記にまとめました。
- オンラインセミナーに参加して新しい看護技術を学んだ
- 医療関連の資格を取得した
- ボランティア活動を通じて実践的な経験を積んだ
ブランクが生じた理由を前向きな理由として説明することが重要です。家族の介護や自己研鑽のためなど、できる限り前向きな理由にしましょう。ブランク期間でも看護師としての役割を意識し続けていたことをアピールできると効果的です。
転職後の目標を具体的に述べることで、将来の展望を明確にしましょう。ブランク期間中の経験が看護業務にどう活かせるかを説明すると、より効果的です。ポイントを押さえることで、ブランク期間があっても不利にならない自己PRを作成できます。
看護師の自己PRで避けるべき失敗例
自己PRを書く際、避けるべき失敗例は下記のとおりです。
- 職務経歴を列挙する
- ネガティブな内容を書く
- 例文をそのまま使う
- 志望動機と混同する
必ず成功につながる自己PRはありませんが、失敗につながる自己PRは存在します。失敗パターンを避けることで、採用担当者に対して印象の良い自己PRの作成が可能です。
職務経歴を列挙する
職務経歴を列挙するだけの自己PRは、採用担当者にとって良い印象を与えません。単に過去の役職や勤続年数を列挙するだけでは、応募者の実際の能力や適性が伝わりにくいからです。事実の列挙では具体的な仕事内容や経験、スキルが伝わりません。
自己PRでは、どのような経験を通じて、どのようなスキルを身に付けたかを具体的に説明しましょう。過去の職務経歴をただ列挙するのではなく、経験がどのように応募先の仕事に役立つかを明確に示してください。
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ネガティブな内容を書く
自己PRにネガティブな内容を書いてしまうと、採用担当者にネガティブな印象を与えるので、記載は避けましょう。自己PRは自分を売り込む文章です。わざわざ自分の評価を下げる必要はありません。
過去の失敗についてだけを記載すると、採用担当者は不安や疑念を抱きます。過去の失敗に関しては、失敗からどう考えて行動したかを、学んだ教訓も含めて書くべきです。ただ単にネガティブな内容は、選考において大きなマイナス要素となるので注意しましょう。
例文をそのまま使う
書籍やネットに掲載されている例文をそのまま使うことは避けましょう。他人の文章のコピーでは、自分らしさが伝わりません。例文をコピーすると、採用担当者に自分の良さを理解してもらえなくなります。
自己PRは自分の経験やスキルが応募先でどのように再現できるかをアピールする文章です。例文をそのまま使用すると自分の経験やスキルがアピールできません。自分の経験や強みを自分の言葉で表現することが重要です。自分の言葉で書かれた自己PRは、採用担当者への説得力が増し、好印象を与えます。
志望動機と混同する
志望動機と自己PRの混同に注意しましょう。志望動機と自己PRは伝えるべき内容が全く異なります。違いを理解していないと、どちらも曖昧な内容になりがちです。
自己PR内で志望動機に触れすぎると、自己PRのインパクトが弱まる可能性があります。志望動機と自己PRをはっきりと区別して書くことで、両方の内容が鮮明に伝わります。しっかりと区別することで、採用担当者に対して自分の経験やスキルを含めた価値を効果的にアピール可能です。
看護師の自己PR例文集
自己PRは、応募先に対して自分を売り込む重要な項目です。効果的な自己PRを作成するには、具体的な経験や強み、実績を伝えることが欠かせません。以下のような病院やクリニックの種類に応じた自己PRの例文をいくつか紹介するので、参考にしてください。
- 単科の病院経験者
- 療養型病院経験者
- 急性期病院経験者
- クリニック経験者
例文をもとに、自分の経験やスキルに合わせてアレンジしましょう。
単科の病院経験者
単科の病院での経験は、他の看護師と差別化できる自己PR材料です。単科病院では特定の疾患や治療に特化しているので、専門知識と技術を深められます。単科病院での経験を活かした自己PRの例文は下記のとおりです。
「私は単科の病院で5年間勤務し、特に呼吸器科の看護に従事してきました。高度な専門知識と技術を持ち、複雑なケースに貢献した経験もあります。患者様とのコミュニケーション能力が高く、信頼関係の構築が得意です。チームワークを重視し、協力して業務を遂行する能力もあります。」
療養型病院経験者
療養型病院での経験は、他の医療機関では得られない貴重なスキルを身に付けられます。終末期看護に対応する能力が必要なので、患者や家族に対する心理的サポートの技術が欠かせません。長期間での患者ケアやリハビリのサポートに強みもあります。
「療養型病院で7年間勤務し、長期的な患者ケアに従事してきました。患者様一人ひとりに寄り添い、リハビリや日常生活のサポートを行ってきました。患者様やご家族の心のケアを行った経験もあります。多忙な環境でも冷静に対応し、効率的に業務をこなせます。」
急性期病院経験者
急性期病院での経験は、看護師としてのスキル向上につながるため、自己PRのアピールポイントの一つです。急性期患者をケアした経験により、迅速な意思決定能力やマルチタスク能力が養われます。高度な医療技術が求められる現場で役立つスキルです。急性期病院経験者向けの自己PR例文は下記のとおりです。
「急性期病院での勤務経験を通じて、緊急対応や迅速な判断力を養ってきました。患者様の状態変化に即座に対応し、適切な治療を提供可能です。コミュニケーション能力を活かし、他の医療スタッフと協力して患者様のケアを行えます。」
クリニック経験者
クリニックでの経験は、患者と近い距離感でコミュニケーションを取れる点が強みとなります。柔軟で迅速な対応が求められ、限られたリソースの中で効率的に業務を進めるスキルも強みの一つです。クリニック経験者向けの自己PR例文は下記のとおりです。
「クリニックでの勤務を通じて、地域の患者様に対する幅広い医療提供を行ってきました。診療補助や予防接種、健康相談など多岐にわたる業務に対応できます。患者様との信頼関係を築くことが得意で、地域医療の一端を担う自覚を持っています。」
まとめ
看護師として転職する際の自己PR作成には、自分の経験と強みの具体化が重要です。志望動機と混同せず、採用担当者に自分の強みを活かす具体的なイメージを伝える必要があります。
前向きな姿勢や学びの意欲を強調することで、転職回数にかかわらず好印象を与えられます。ブランクがある場合は、ブランク期間中に行った勉強や再スタートの意欲を説明するのが大切です。ポイントを押さえて自己PRを上手にカスタマイズし、自分を雇うメリットを採用担当者に伝えて、内定につなげましょう。
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