看護師として長年働いてきた人にとって、新たなキャリアを考えるのは大きな決断です。50代となると、今までの経験を活かしつつ、より自分に合った環境で働きたいと考える人も多くいます。

50代は体力の低下や介護が視野にはいってくるタイミングだから、キャリアチェンジで悩む人が多いですね。
この記事では、50代の看護師が介護施設への転職を考えるときに、知っておくべき情報を詳しく解説。本記事を読めば、介護施設での看護師の仕事内容や、転職のメリット・デメリットを理解できます。介護施設で働く看護師の需要は高く、50代でも十分に活躍できる環境があります。特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、さまざまな種類の介護施設があるため、それぞれの特徴を理解しましょう。

看護師が働く介護施設の種類と特徴

看護師が働く介護施設には、以下の種類があります。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- グループホーム
- デイサービス(通所介護)
24時間体制や、日中のみのサービスを提供するものがあり、医療依存度や入居者の自立度に応じて特徴が異なります。施設の規模や種類によって看護師の役割も変わってくるため、給与や勤務条件などそれぞれの違いを把握しましょう。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上の高齢者が入居する施設です。24時間365日の介護サービスを提供するため、安心して生活できる環境が整っています。特養の大きな特徴は、医療的ケアが必要な入居者も受け入れ可能なところです。
入居者の健康管理や医療処置が実施できる看護師を、常勤で配置することが義務付けられています。特養で働く看護師には、介護職員と協力した日常生活のサポートだけでなく、夜勤や緊急時の対応も求められます。長期的な視点で入居者のケアができるのが、特養の看護師の魅力です。
特養は介護保険制度の適用を受ける施設なので、入居費用は比較的低く抑えられます。待機者が多いため、入居までに時間がかかるのが現状です。看護師の需要が高く、経験を活かしながらやりがいのある仕事に携われる特養は、転職先として人気があります。
介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(老健)は、医療と介護の中間施設としての役割があります。在宅復帰を目指すリハビリテーションが中心となるのが特徴です。老健の入所期間は原則3か月以内、最長6か月で、医師や看護師が24時間常駐します。リハビリ専門職が常勤しており、要介護1以上の認定を受けた高齢者が対象です。
老健では、入所者の健康管理や医療処置を提供しながら、多職種連携によるチームケアを実践します。看護師は医療的ケアと生活支援の両方を担当するので、幅広いスキルが必要です。夜勤体制があり24時間の医療対応が可能なため、入所者と家族に安心感を提供できます。
在宅復帰を目標とするので、看護師には入所者の自立支援に向けた取り組みが求められます。
有料老人ホーム
有料老人ホームは、50代看護師の転職先として、人気の高い職場の一つです。入居者が24時間生活する施設で、以下のサービスを提供しています。
- 介護
- 食事
- 入浴
有料老人ホームには、主に介護付きや住宅型、健康型の3つの種類があります。介護付きの有料老人ホームは、24時間体制での医療ケアを行うため、看護師の専門性を活かすことが可能です。比較的自立度の高い入居者が多いのが、有料老人ホームの特徴です。
リハビリテーションにも関わる機会があり、看護師の役割は数多くあります。50代看護師にとって有料老人ホームは、今までの経験を活かしながら新たなスキルを身に付けられる、魅力的な職場環境です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者の自立した生活を支援する住宅サービスです。サ高住では、安否確認と生活相談サービスが提供されます。サ高住はバリアフリー設計で高齢者の安全に配慮されており、24時間の見守りサービスもあります。
食事サービスや介護サービスなどをオプションで付けることも可能です。サ高住は自立度の高い高齢者向けの施設ですが、看護師が常駐する施設ではありません。必要に応じて訪問看護で対応するなど医療行為は限定的です。サ高住で働く看護師の役割は、入居者の健康状態の把握や必要な医療サービスの提供です。
介護職員との連携が重要で、入居者の状態に応じて外部の医療機関とも連携します。サ高住は高齢者の自立を支援しながら、必要な医療・介護サービスを提供する施設です。看護師にとっては、高齢者の生活に寄り添いながら専門性を発揮できる職場環境となっています。
グループホーム
グループホームは、認知症高齢者のための小規模な共同生活施設です。5〜9人程度の少人数で家庭的な環境を提供し、入居者の自立支援と生活の質の向上を目指します。グループホームで提供するサービスは、以下のとおりです。
- 24時間体制の介護サービス
- 家事や日常生活動作の支援
- 認知症ケアに特化したサービス
グループホームは介護職員が中心となって運営するのが特徴です。看護師は常駐しませんが、必要に応じて訪問看護を行います。地域密着型サービスの一つとして、入居者の状態に合わせた個別ケアが可能です。
グループホームで働く看護師は、介護職員と密接に連携しながら、入居者の健康管理や緊急時の対応を行います。認知症ケアの専門知識を活かし、入居者の生活の質向上に貢献できるのがグループホームの魅力です。
デイサービス(通所介護)

デイサービス(通所介護)は、在宅で生活する高齢者や障害者を支援する重要なサービスです。利用者は日中、施設に通ってさまざまなサービスを受けられます。デイサービスの目的は、利用者の心身機能の維持・向上や社会的孤立の防止、家族の介護負担の軽減です。デイサービスでは、以下のサービスを行っています。
- 食事の提供
- 入浴サービス
- レクリエーション活動
- 機能訓練
看護師はデイサービスにおいて利用者の健康管理や服薬管理、リハビリテーションの補助などを行います。デイサービスでは、利用者一人ひとりの状態に合わせた、個別ケアが大切です。認知症の人への対応など、専門的な知識や技術が求められる場面も多くあります。
看護師は介護職員と連携しながら、利用者の安全と快適さを確保します。家族とのコミュニケーションも重要な業務の一つです。デイサービスにおける看護師の役割は多く、利用者の生活を総合的に支える重要な存在となっています。
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介護施設で働く看護師の仕事内容

介護施設で働く看護師の主な役割は以下のとおりです。
- 入居者の健康管理と日常的なケア
- 医師の指示にもとづく医療行為
- 緊急時の対応と医療ケア
- 介護職や他職種との連携
介護施設で働く看護師は、医療と介護の両面から入居者をサポートするため、幅広い知識と技術が求められます。
入居者の健康管理と日常的なケア
介護施設で働く看護師の最も重要な業務の一つは、入居者の健康管理と日常的なケアです。入居者の健康状態を常に把握し、適切なケアを提供すれば、快適な生活の支援ができます。日々の業務を通じて、入居者の健康状態を維持・改善し、生活の質を向上させるのが目的です。
感染予防や口腔ケア、栄養管理などの取り組みにより、入居者の健康を総合的に管理します。入居者や家族への健康相談も大切な業務です。不安や悩みに耳を傾け、適切なアドバイスを行えば、入居者と家族の安心につながります。
介護施設で働く看護師は、医療的な視点と介護的な視点の両方を持ちながら、入居者の健康と生活を支えています。
医師の指示にもとづく医療行為

医師の指示にもとづく医療行為は、介護施設で働く看護師の重要な役割の一つです。業務内容には、入居者の健康維持と生活の質の向上に不可欠な、服薬管理や投薬などがあります。以下の医療行為も看護師が行います。
- 点滴や静脈注射の実施
- カテーテル管理
- 酸素療法の実施と管理
- 血糖測定と糖尿病管理
医療行為を行うには、高度な専門知識と技術が必要なため、常に最新の医療情報を学び、技術を磨くのが大切です。医師の指示書にもとづいて行動し、施設の規定を守る必要があるため、介護施設での医療行為には制限があります。医療機器や薬品の管理も重要です。
介護施設での医療行為は、入居者の生活を支えるうえで重要です。看護師の専門性を活かし、入居者一人ひとりに適した医療ケアを提供しましょう。
緊急時の対応と医療ケア
介護施設での緊急時の適切な対応は、入居者の命を守り安全を確保するために重要です。看護師には迅速かつ的確な判断と行動が求められます。介護施設で看護師に求められる、緊急時の対応と医療ケアは以下のとおりです。
- 急変時の初期対応
- 心肺蘇生法とAED使用
- 救急車要請と搬送対応
- バイタルサイン測定・評価
- 転倒・骨折時の応急処置
- 誤嚥時の対応と吸引
緊急時の対応を適切に行うには、日頃からの訓練と知識の更新が欠かせません。緊急時マニュアルを熟知し、定期的な訓練を行えば、実際の場面でも冷静に対応できます。緊急時には他のスタッフとの連携も重要です。
医師への報告と指示受け、家族への連絡と説明、他のスタッフへの指示など、チームワークを発揮して対応しましょう。緊急時の対応は、入居者の生命に直結する重要な業務です。常に冷静さを保ち、適切な判断と行動ができるよう、日頃から備えましょう。
介護職や他職種との連携

介護施設での看護師の役割において、他の職種との連携は重要です。看護師は医療の専門家として、介護職や他の医療専門職と協力し合う必要があります。職種間の考え方の違いや、忙しさによるコミュニケーション不足が課題となるケースもあります。
看護師は他職種の専門性を尊重しながら、医療の観点から適切な助言や指導を行うことが重要です。家族との連絡や相談対応も、看護師の重要な役割の一つです。医療的な説明や今後の見通しなどを、わかりやすく伝えましょう。
看護師が介護施設で働くメリット・デメリット

看護師が介護施設で働くには、メリットとデメリットがあります。メリットとデメリットを踏まえて、自分に合った職場環境を選びましょう。
介護施設で働くメリット
介護施設は安定した勤務体制と働きやすい環境が整っている点がメリットです。ワークライフバランスが取りやすく、夜勤や残業が比較的少ないのが特徴です。急性期病棟よりも身体的負担が軽く、年齢を重ねても働き続けやすい職場環境が整っています。
介護施設で働くと、長期的な患者との関係構築が可能になり、高齢者の生活全般を支援する充実感も得られます。介護保険制度の知識習得や、高齢者医療の専門性が向上するのもメリットの一つです。キャリアアップの面でも管理職への道が開けるなど、将来性のある職場環境が整っています。
地域医療への貢献の観点からも、やりがいを感じられる仕事です。介護施設での勤務は、安定性と専門性を兼ね備えた魅力的な選択肢と言えます。
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介護施設で働くデメリット
介護施設で働く場合、医療行為が制限され専門性を十分に発揮できない点がデメリットです。病院とは異なり、介護施設では高度な医療行為を行う機会が少ないため、看護師としての専門性を活かしにくい傾向があります。
ワークライフバランスの面でもデメリットがあるのが現状です。施設によっては夜勤や休日出勤が多く、プライベートな時間の確保が難しい場合もあります。家族との時間や自己啓発の時間が取りにくくなるので、注意が必要です。介護施設で働く看護師の給与は、病院勤務と比べて低い傾向にあるため、給与面でも不満を感じやすいデメリットがあります。
キャリアアップの機会も限られるので、長期的な収入の増加も見込みにくい傾向があります。デメリットを十分に理解したうえで、自分に合った働き方を選びましょう。
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介護施設に向いている看護師の特徴

介護施設で働く看護師に求められる特徴は、以下の3つがあります。
- 高齢者とのコミュニケーションが得意な人
- 丁寧で根気強い性格の人
- 介護と医療の両方に興味がある人
チームワークを重視し、多職種連携をスムーズに行える能力も大切です。
高齢者とのコミュニケーションが得意な人
高齢者とのコミュニケーションが得意な人は、介護施設で働く看護師として適しています。コミュニケーションが得意な人は、高齢者の気持ちに寄り添い、丁寧に対応できるので、信頼関係を築きやすい傾向があります。表情、ジェスチャーを使った非言語コミュニケーションの活用や、高齢者の尊厳を大切にした態度も重要です。
単に話を聞くだけでなく、高齢者の生活背景や価値観を理解しようとする姿勢も欠かせません。認知症の人とのコミュニケーション方法の理解も、介護施設で働く看護師にとって重要な能力です。忍耐強く、繰り返しの説明にも対応できる人は、認知症の人とのコミュニケーションにも適しています。
高齢者の個性や好みに合わせたコミュニケーションができる人は、より効果的なケアを提供できます。家族や他の医療・介護スタッフとの情報共有が上手な人は、チームケアの中で重要な役割を果たすことが可能です。

親が高齢になってくると、高齢者の特徴なども自然とわかってきますね。高齢になって困っていることなども理解しやすいと思います。耳の聞こえが悪くなる、目が見えにくくなる、何もないところでつまづきやすいなど...
丁寧で根気強い性格の人

丁寧で根気強い性格の人は、高齢者に対して細やかな配慮ができ、長期的なケアを提供できる強みを持っています。介護施設での看護師として働くうえで、丁寧で根気強い性格の人は、高齢者との信頼関係を築くことが可能です。
ストレス耐性が高く、長期的な視点で入居者のケアを考えられる人も、介護施設での看護師に適しています。小さな変化や進歩を見逃さず評価できる能力も、高齢者のモチベーションを保つうえで大切です。清潔感があり整理整頓が得意な人や、穏やかで落ち着いた雰囲気を持つ人も、介護施設の環境づくりに貢献できます。
介護と医療の両方に興味がある人
介護と医療の両方に興味がある看護師は、介護施設での仕事に適しています。介護施設での仕事は医療と介護の知識を組み合わせて、高齢者のケアを行うことが可能です。介護と医療の両方の知識の活かし方は、以下のとおりです。
- 慢性疾患や認知症への理解
- 予防医学の視点
- 医療と介護の橋渡し役
介護施設での仕事は医療機関とは異なる面もあるので、新しい知識やスキルを身に付ける必要があります。多職種連携のスキルを磨いたり、長期的な視点で利用者の生活をサポートしたりする経験ができます。介護と医療の両方に興味がある看護師は、介護施設で働くと幅広い経験を積むことが可能です。
医療と介護の統合的なアプローチを学べる環境は、経験を積むことで専門性を高められます。
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看護師が介護施設で働くために必要なスキルと資格

看護師が介護施設で働くには、以下の知識やスキルが必要です。の
- 基本的な看護スキル
- 介護施設特有の知識と技術
- 特定看護師の資格の有用性
看護師の基本スキルに加え、介護施設特有の知識や技術も求められます。看護師免許が必須ですが、ケアマネージャーや認知症ケア専門士の資格があるとより専門的なケアが可能です。

リンパケアセラピストの資格も生かせる資格です。
基本的な看護スキル
基本的な看護スキルは、介護施設で働く看護師にとって入居者の健康と安全を守るために欠かせません。看護スキルを適切に活用すれば、入居者の健康状態を正確に把握し、必要な医療ケアを提供できます。基本的な看護スキルだけでなく、高齢者特有の症状や疾患に関する知識も重要です。
高齢者は複数の疾患を抱えるケースも多く、総合的な観察力と判断力が求められます。認知症ケアや終末期ケアなど、介護施設特有の知識とスキルも必要です。基本的な看護スキルを磨きつつ、介護施設での経験を積めば、より質の高いケアを提供できます。
介護施設での看護は、医療と介護の両方の視点が必要なので、幅広い知識とスキルを身に付けましょう。
介護施設特有の知識と技術

介護施設で働く看護師には、一般的な看護スキルに加え、高齢者ケアに特化した知識と技術が求められます。高齢者ケアに特化した専門的なスキルは、以下のとおりです。
- 高齢者の身体的・精神的特徴の理解
- 認知症ケアの専門知識、褥瘡予防と管理
- 摂食・嚥下障害への対応
- 排泄ケアの技術
- 転倒予防と安全管理
- 介護保険制度の理解
- リハビリテーションの基礎知識
- 高齢者や認知症患者とのコミュニケーション技術
- 介護記録の作成・管理スキル
- 介護機器の使用方法
専門的な知識と技術を習得すると、介護施設での看護師としての役割を果たせます。介護施設ならではの専門性やスキルを活かせるよう、積極的に学びを深めていきましょう。
特定看護師の資格の有用性
特定看護師の資格があると、より高度な医療ケアを提供できるため、介護施設で働く看護師にとって価値があります。特定看護師は医師の包括的指示のもとで、診療の補助や薬物投与などの医療行為を行うことが可能です。医療行為の範囲拡大や緊急時対応力向上、安心感の提供といったメリットが、特定看護師の資格にはあります。
特定看護師は、キャリアアップや専門性の向上にもつながる資格です。施設内での役割や責任が増え、給与面でのメリットもあるため、やりがいを感じやすい傾向があります。特定看護師になれば、他の看護師や介護職員への指導を行うことが可能です。医療と介護の連携強化に貢献できるため、施設全体のケアの質の向上にも役立ちます。
» 看護師のキャリアアップ方法や役立つ資格を解説!
まとめ

50代看護師にとって、介護施設への転職は魅力的な選択肢です。介護施設では、豊富な経験を活かして、安定した勤務条件のもと働けます。介護施設で働けば、入居者の健康管理や医療行為、緊急対応など、看護師としての専門性を発揮できる場面が多くあります。
医療機関とは異なる環境のため、新たな知識やスキルの習得も欠かせません。高齢者とのコミュニケーションや介護職との連携、介護施設特有の医療ケアについては注意が必要です。自身の経験と専門性を活かせば、介護施設での看護師としてのキャリアを充実させられます。
転職を考える50代看護師は、介護施設での勤務を選択肢の一つとして検討しましょう。
