看護師として長年働いた病院を退職したものの、再就職を考える人は少なくありません。特に40歳台、50歳台の看護師にとって、新しい環境での仕事に不安を感じられることもあり、以前の職場に戻ることを選択するケースが増えています。
本記事では、看護師が退職した病院に再就職することは可能か?またそのメリットとデメリットについて解説します。再就職を検討している方の参考になる情報をお届けします。
目次[表示]
看護師が退職した病院に再就職できる?可能性と注意点を解説

結論から言うと、退職した病院に再就職することは、可能です。ただし、病院側の受け入れ体制や退職時の状況によっては難しい場合もあります。

私の病院にも、他の病院に転職して何年か経って戻ってこられる人がいました。さすがに1年で戻ってくる人は見たことなかったです。
私が退職した時には、退職書類の中に、「退職後に病院が人手不足などの時にメールをしても良いか」という内容の書類がありました。連絡がつくメールアドレスを書いて、連絡が可か不可に印をつけて提出しました。
再就職が可能なケース
円満退職をしている場合
- 人手不足の病院では、過去に勤務経験のある看護師を再雇用するケースが多い
- 退職時の上司や同僚との関係が良好であれば、復職しやすい
円満退職をしている場合は、戻りやすいと思います。例えば、退職時に家族の病気や子育てなどで仕方なく退職しないといけなくなった場合などは、家族の状況が落ち着き、就職するタイミングで、上司に相談すれば、スムーズに復職しやすいと思います。
育児休暇や介護休暇を使わないで辞めたケースの人が数人いました。
病院が看護師不足である場合
どこの病院も人手が十分であるという病院は少ないのではないかと思います。特に3月やボーナスの後には、転職を考えるのが多い月といえます。あとは、妊娠によって業務制限がある場合や産休で一時的に人を補充したい時などは、病院に歓迎されます。
- 深刻な人手不足に悩んでいる病院では、経験のある元職員を歓迎することが多い
- 退職してすぐの再就職ではなく、数年経過して病院の体制や人員が変わった後であれば、受け入れられやすい
再就職が難しいケース
トラブルが原因で退職した場合
トラブルで退職した場合は、理由にもよりますが、再就職は難しいことが多いです。トラブルの多くは、人間関係や勤務体制によることが多いため、その原因が解決されていなければ、同じ原因ですぐに辞めることになるからです。
- 人間関係の問題や勤務態度でトラブルがあった場合は、再雇用が難しい
- 病院側が再雇用を拒否することもある
病院側として、「出戻り不可」の場合
雇用契約書に「退職後は再雇用しない」と明記されている場合もあります。そのような病院は、辞める時に確認しておかなければ、「やっぱり戻りたい」と思った時に後悔することになります。

退職する時には、自分が辞めたい原因は何かを、はっきりしておく必要があります。辞めたい原因は自分軸で決める方が後悔がないと思います。
- 一度退職した職員を再雇用しない方針の病院もある
- 内部規定がある場合は、再雇用が難しくなる
退職した病院に戻る理由
40歳台、50歳台の看護師が一度辞めた病院に戻る理由はさまざまです。他の病院を知ることで、今までの病院の良さがわかった場合です。退職までの年数と給料、体力などを天秤にかけて、戻れるものなら戻りたい、そんな気持ちになるんだと思います。特に専門的な病院に勤めていた場合は、一般的な病院に馴染めないという声を聞きます。
新しい職場が合わなかった
- 転職したものの、新しい環境に馴染めず退職を考える
- 仕事の進め方や人間関係が合わず、以前の病院の方がよかったと感じる。

がん専門病院に勤めていた場合、がん看護は得意とするところですが、一般病院でみる病気はあまりみる機会がなかったりします。医者も一緒ですね。専門外はわからないという医者も少なくありませんでした。
ライフスタイルの変化
ライフスタイルの中には、生活環境によるものと、自分自身の年齢的なライフサイクルによるものが関係してきます。
- 家庭の事情(介護や子育て)で、通勤時間や勤務時間を調整する必要が出てきた
- 以前の職場の方が自分のライフスタイルに合っていた
待遇や条件の良さ
転職してみたら以前の病院が、基本給や残業費、有休消化率、福利厚生などがよかったなと思う場合です。勤務時間や勤務体制も病院によって全然違いますから、転職してから後悔することが多いと思います。
- 退職後に外部の環境を経験し、以前の病院の待遇の良さを再認識する
- 病院側が給料や勤務条件を改善し、再雇用の魅力が増す
退職した病院に戻るメリット

退職した病院に再就職することで、次のようなメリットがあります。
職場環境に慣れている
職場環境に慣れていることは、自身のストレスの軽減になることは間違いないでしょう。病院内の部署や外来の場所、ルールなどをはじめから覚えながら、人間関係を構築していくには、かなりのストレスがあります。
- すでに働いた経験があるため、新しい職場よりもスムーズに業務に入れる
- 人間関係や病院のルールを理解し得るため、ストレスが少ない
即戦力として活躍できる
長年勤めた病院へ戻るなら、特に即戦力として活躍できますし、応用もききます。場所の配置などもある程度分かれば、問題なく活躍できるでしょう。
- 経験があるため、教育や研修が最小限ですむ
- 以前のスキルを活かし、病院側も即戦力として期待できる
給料や待遇の交渉がしやすい
スムーズに退職した病院では、再就職の際にいろいろな条件を伝えやすいといった利点があります。
- 以前の勤務実績があるため、給料交渉がしやすい
- 働きやすい環境で再雇用される可能性がある
退職した病院に戻るデメリット

一方で、再就職にはデメリットもあります。何らかの原因があり辞めた病院なので、また同じような原因で辞めたくなる可能性があります。
過去の問題が再燃する可能性がある
- 退職の原因が解決されていない場合、再就職後に同じ問題に直面する可能性がある
- 人間関係のしがらみが残ることもある
新しい環境での成長の機会が少ない
以前の環境に戻ることで、次のステップを希望しないもしくは、自分の成長に対して意欲的でないと捉えられる可能性があります。
- 以前と同じ環境に戻ることで、新たな経験やスキルを身につける機会が減る
- キャリアアップを考えるなら、他の病院での経験も重要です
同僚や上司の目が気になる
退職して、何年か経過している場合、以前のままの職場を想像して出戻ると後悔する可能性があります。
- 「一度辞めたのに戻ってきた」という目で見られることがある。
- 周囲の人間関係の変化によって、以前とは異なる職場環境になっている可能性がある。
出戻り後にすぐに辞めてしまうと、信用を失う可能性があるため、覚悟をもって再就職することをおすすめします。
実際に出戻りで働いていた看護師の体験と再就職のステップ
<ケース1>Aさん27歳
Aさんは、入職して2年経過したところで、キャリアアップを目指して循環器専門の病院に転職しました。循環器専門のため、心電図も医者と対等ほどに観察することができるまでになりましたが、循環器は命に直結することが多いため、責任の重さに耐えかねたこととと、人間関係が合わず、結局3年後に元の病院に転職した。「最初は気まずかったけど、慣れた環境で働ける安心感があった」と話す。同期で入った人の多数がまだ在職していたこと、退職時の人間関係が良かったことと、本人が誠実な人柄だったため、受け入れられたケースです。
<ケース2>Bさん50歳
Bさんは、一度退職後、別の病院で働いたが、元の病院の待遇の良さに気づき、再就職を決意された。Bさんは独身でずっとがん看護に携わっていたが、40歳の時に一般病院に転職されました。15年以上がん看護に従事していたため、一般病院に馴染めずにモヤモヤしながら勤めていましたが、「給与や勤務環境を比較すると、以前の病院の方がよかった。戻るのは勇気がいったけど、結果的に満足している。」と話す。結局、自分がやりたかったのは、がん看護ということを自覚し、50歳になった今も続けて働いています。
再就職のステップ
- 病院の受け入れ状況を確認
- 元同僚に連絡して病院の状況を把握(情報収集は必須)
- 公式サイトや求人情報のチェック
- 上司や人事に相談
- 退職時にお世話になった人に相談
- 直接の問い合わせより、まずは間接的に情報収集
- 履歴書・職務経歴書の準備
- 「なぜ戻りたいのか」を明確に伝える
- 他の病院で得た経験をどう活かせるかアピール
- 面接対策
- 「なぜ戻るのか?」の質問には、前向きな理由を述べる
- 過去の人間関係を配慮した言葉選びをする
- »【看護師転職】自己PRの書き方!履歴書や面接で使える例文と制作のコツ5選
- »看護師の履歴書の書き方|志望動機〜提出方法まで徹底解説!
看護師が退職した病院に再就職することは可能であり、多くのメリットがあります。ただし、退職した理由をよく考え、同じ問題が発生しないかを慎重に判断することが大切です。
再就職を考えている方は、病院の受け入れ状況を確認し、自分のキャリアにとって最適な選択をするようにしましよう。