57歳で働き方を変えた、きよたかナースです。
定年前に転職や退職をするには、勇気がいるものです。
働き方を考慮すれば、看護師は体力が続く限り、長く働き続けられる職業です。高齢化が進む日本では、経験豊富な看護師の需要が高まっており、定年後も活躍の場が広がっています。この記事では、看護師の定年制度や定年後の働き方、長く働き続けるためのポイントを解説します。
定年後も働きたい方やセカンドキャリアを考えている方に参考になる内容です。50歳を過ぎても、経験とスキルを活かせる職場が必ず見つかります。
看護師が定年する年齢
看護師の定年は一般的に60歳です。しかし、再雇用制度の普及で、65歳まで働き続けるケースが増えています。国公立病院と民間病院では、定年の扱いに違いがあるので、それぞれ詳しく見てみましょう。
看護師応援プロジェクト実施中!看護師転職サイト『ナースJJ』国公立病院の定年
国公立病院で働く看護師の定年は、公務員規定に基づき60歳に設定されています。しかし、60歳で完全に退職するわけではありません。多くの場合、再雇用制度を利用して65歳まで働き続けられます。再雇用後は通常、嘱託職員として勤務します。
給与は正規職員時代より減額されますが、勤務時間や業務内容の負担も軽減されることが多いです。夜勤の回数を減らしたり管理業務から外れたりすることで、体力的な負担を抑えながら働けます。国公立病院では、高年齢者雇用安定法に基づき、65歳までの雇用を確保する取り組みが進められています。
ベテラン看護師の経験は、若手の育成や質の高い医療サービスに欠かせません。
民間病院の定年
民間病院の看護師の定年も多くの場合、60歳に設定されています。ただし、近年では65歳まで定年を延長する病院も増えてきました。経験豊富な看護師の需要が高まっていることや、高齢者雇用安定法の影響によるものです。
60歳定年の病院でも、多くは65歳までの継続雇用制度を設けています。1年ごとの契約更新やパートタイムへの切り替えで、65歳まで働けることが多いです。中には、70歳まで働ける再雇用制度を導入している病院もあるほどです。民間病院の場合、定年後の働き方や待遇は病院によって大きく異なります。
特定の資格や専門性を持つ看護師に対して、定年後も正規職員として働き続けられる制度を設けている場合もあります。自分のキャリアプランに合わせて、働きやすい環境を選ぶことが可能です。
看護師が定年後も働ける理由
看護師が定年後も働き続けられる理由はいくつかあります。法律の整備や社会的なニーズの変化により、ベテラン看護師の活躍の場が広がっている背景について詳しく見てみましょう。
高年齢者雇用安定法の影響
高年齢者雇用安定法は、高齢者の雇用を促進するための法律です。企業は65歳までの雇用を確保する措置を講じることが義務付けられています。具体的には、以下のいずれかの対応が求められています。
- 定年を65歳まで引き上げる
- 65歳までの継続雇用制度を導入する
- 定年制を廃止する
法律の影響により、多くの医療機関で65歳までの雇用が可能になりました。60歳で一度定年退職しても、希望すれば65歳まで働き続けられる制度が整備されています。看護師業界では、ベテラン看護師が長年培った経験とスキルを活かし続けられる環境が整ったと言えます。
2021年4月からは、70歳までの就業機会の確保が努力義務化されました。今後ますます高齢の看護師が活躍できる場が広がっていくと予想されます。
65歳以上の再雇用制度
65歳以上の看護師を対象とした再雇用制度が、多くの医療機関で導入されています。契約期間は通常1年ごとの更新で、勤務形態を選ぶことも可能です。夜勤や休日勤務の免除など、働き方への配慮もあります。給与は正規職員時代より減額されるケースが多いですが、専門性や資格によって待遇が変わります。
65歳以上の看護師を再雇用し、若手の指導や患者への丁寧な説明を担当してもらうケースも見られるようになりました。訪問看護ステーションでは、経験豊富な65歳以上の看護師が複雑な医療ケアを行うケースも増えています。
看護師が定年後に働きやすい職場
定年後も看護師として働きたい方にとって、働きやすい職場を選ぶことは重要です。体力的な負担が少なく、過去の経験を活かせる環境で働くことで、長く活躍し続けられます。定年後の看護師に人気の職場をいくつか紹介します。それぞれの特徴を理解し、自分に合った職場を見つける参考にしてください。
クリニック
クリニックは、定年後の看護師にとって働きやすい職場の一つです。大規模な病院と比べて、業務の負担が比較的軽く、勤務時間も柔軟に調整できます。クリニックで働くメリットは以下のとおりです。
- 夜勤がない、または少なくなる
- 外来中心の業務で身体的負担が少なくなる
- 患者とじっくり向き合える
- 専門分野を活かせる可能性がある
- アットホームな雰囲気で働きやすい環境である
病院時代の経験を活かせば、患者への丁寧な対応や若手看護師への指導として即戦力になります。週3日程度の勤務にすれば、体力的負担も軽減します。クリニックは、豊富な経験を活かしながら無理なく働ける環境です。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションも、定年後の看護師が活躍できます。患者の自宅を訪問して看護を行うため、病院勤務とは異なる魅力があります。訪問看護ステーションで働くメリットは以下のとおりです。
- 勤務時間の調整がしやすくなる
- 個別のケアに集中できる
- 経験を生かした看護ができる
- 患者との信頼関係を築きやすくなる
- 地域医療に貢献できる
訪問看護では1人で判断する場面が多いため、豊富な経験を持つベテラン看護師の力が必要とされます。70歳を過ぎても活躍している看護師は珍しくありません。
介護施設
介護施設は特別養護老人ホームやデイサービスなど、さまざまな種類の施設があります。主な役割は、患者の健康管理や服薬管理、医療的ケアの提供です。緊急時の対応や介護職員への指導も重要な仕事になります。
多くの介護施設では夜勤がない、または少ない職場が多く、体力的な負担が比較的軽いのが特徴です。長年の経験を活かし、高齢者の健康と安全を支える重要な役割を担えます。介護職員と協力しながら施設利用者をサポートする環境で働けます。
健診センター
健診センターは、定期健康診断や人間ドックを行う施設です。定年後の看護師が働きやすい環境として人気があります。健診センターで働くメリットは以下のとおりです。
- 日勤のみの勤務が多くなる
- 土日祝日が休みの場合が多くなる
- 身体的負担が比較的少なくなる
- 予防医療に貢献できる
- 多くの人と接する機会がある
健診センターでは問診や採血、検査の説明など、幅広い業務を担当します。長年の経験を活かし、受診者に適切なアドバイスができるのが魅力です。
保育園・幼稚園
保育園や幼稚園で働く看護師は、子どもの健康を守る重要な役割を担います。園児の健康管理や、けがや体調不良時の対応が主な仕事です。保護者への保健指導や感染症対策も大切な業務です。保育士への医療的なアドバイスも求められます。
通常、日勤のみの勤務になるため、夜勤がなく体力的な負担が少ないです。園児の成長を見守りながら、豊富な経験を活かして健康管理のサポートができます。子育て経験のある方は、さらに活躍できます。
障がい者施設
障がい者施設で働く看護師は、利用者の健康管理や医療的ケアが主な役割です。日常の健康管理や医療的ケアの提供、服薬管理などを担当します。緊急時の対応や支援員への医療的アドバイスも重要な仕事です。施設利用者一人ひとりの特性に応じたケアが求められるため、長年の看護経験を活かせる職場です。
多くの施設で日勤中心の勤務体制がとられており、体力的な負担も比較的少ないとされています。専門性を活かしながら、社会貢献度の高い仕事ができます。
看護師が定年後も働くためにやっておくべきこと
定年後も看護師として活躍し続けるためには、いくつかの準備が必要です。健康管理やスキルアップ、人脈作りなど、今のうちから意識して取り組むことで、将来の選択肢が広がります。定年後の働き方を見据えて準備しておくべきポイントをまとめました。
健康管理と体力作りをする
健康管理と体力作りは、定年後も看護師として働き続けるための基本です。若いうちから意識して取り組むことで、長く活躍できる身体づくりができます。定期的な健康診断の受診やバランスの良い食事、適度な運動習慣が大切です。十分な睡眠とストレス解消法の確立も重要なポイントになります。
ウォーキングやヨガなど、自分に合った運動を見つけて続けましょう。夜勤がある方は睡眠リズムの管理に気を付けてください。定期的に休暇を取得してリフレッシュの時間を設けることも、心身の健康維持に役立ちます。自分の健康を大切にすることで、患者にも良い看護を提供できます。
コミュニケーション能力を磨く
コミュニケーション能力は、看護師にとって欠かせないスキルです。職場では若い世代との協働や、さまざまな背景を持つ患者との対応が求められます。傾聴力を高め、相手の立場に立って考えることが大切です。わかりやすい説明を心がけ、非言語コミュニケーションにも注意を払いましょう。
日々の業務の中で意識的にコミュニケーションを取り、自己分析と改善を繰り返すことが大切です。コミュニケーションスキル向上のための研修やセミナーに参加するのも一案です。世代を超えた良好な人間関係を築くことで、定年後も働きやすい環境を作れます。
人脈を作る
人脈作りは、定年後の再就職や新たな職場探しに役立ちます。同じ職場の仲間だけでなく、幅広いネットワークを築くことが大切です。効果的な人脈作りの方法は以下のとおりです。
- 看護協会の活動に参加する
- 研修やセミナーに積極的に参加する
- SNSを活用して情報発信する
- 異業種交流会に参加する
- ボランティア活動に参加する
人脈作りは日頃からの積み重ねが欠かせません。職場内外で積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築きましょう。看護協会の活動や研修への参加は、同業者とのつながりを広げる良い機会です。異業種交流会やボランティア活動にも参加すれば、多様な価値観や経験を持つ方々と出会えます。
必要な資格を取得する
定年後のキャリアを充実させるため、新たな資格の取得を検討しましょう。看護師の経験を活かしつつ、専門性を高められる資格があります。定年後に役立つ資格は以下のとおりです。
- 認定看護師
- 専門看護師
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)
- 医療安全管理者
- 感染管理認定看護師
認定看護師や専門看護師の資格は、特定分野での高度な看護実践能力を証明するものです。介護支援専門員は、介護施設での活躍の幅を広げます。医療安全管理者や感染管理認定看護師は、医療機関で重要な役割を担います。資格取得には時間と努力が必要ですが、将来の選択肢を増やす投資として最適です。
»専門看護師と認定看護師の違いを徹底解説!
キャリアチェンジや転職を検討する
定年後の働き方を見据えて、キャリアチェンジや転職を検討するのも良い選択肢です。早めに準備することで、スムーズに移行できます。自己分析を行い、興味のある分野を探りましょう。必要なスキルを身に付け、情報収集を怠らないことが大切です。
病院勤務から訪問看護に転職する場合、在宅医療の知識や家族支援のスキルが必要になります。教育分野に興味がある方は、実習指導者講習会を受講するのもおすすめです。キャリアチェンジは時間がかかる方法ですが、計画的に準備することで新たな可能性が広がります。
» 経験と貢献できることを活かして活躍!50代看護師の転職成功法
看護師が定年後も働く際に注意すること
定年後に看護師として働く際は、いくつかの点に注意が必要です。自分の体力や生活スタイルに合った働き方を選ぶために、勤務可能な期間や待遇、職場環境などをチェックしましょう。
勤務可能な期間を確認する
定年後に再就職する際は、勤務可能な期間をしっかり確認してください。雇用契約の内容や更新の可能性について、事前に把握しておくことが大切です。勤務可能な期間を確認する際のポイントは以下のとおりです。
- 契約期間の長さ
- 契約更新の条件
- 最長雇用年齢の有無
- 勤務形態の選択肢
- 試用期間の有無
1年ごとの契約更新が一般的ですが、70歳まで働ける制度を設けている職場もあります。自分の希望する期間働けるか、事前に確認しましょう。フルタイムやパートタイムなど、勤務形態の選択肢があるか確認するのも大切です。自分のライフスタイルに合わせて働ける環境を選んでください。
年配看護師への配慮や待遇を確認する
定年後に働く際は、年配看護師への配慮や待遇について確認することが大切です。夜勤免除や短時間勤務の選択肢があるか確認しましょう。体力的に負担の少ない業務への配置転換が可能か、休憩時間が十分に確保されているかも重要です。
定期的な健康診断や相談窓口の有無など、健康管理面でのサポート体制も確認してください。年配看護師の経験や知識を活かせる環境かどうかも、大切なポイントになります。自分に合った働き方ができる職場を選ぶことで、長く活躍し続けられます。
無理のない働き方を選ぶ
定年後に働く際は、自分の体力や生活スタイルに合わせて無理のない働き方を選ぶことが大切です。長く働き続けるために、以下の点に注意しましょう。
- 勤務日数や時間の調整
- 業務内容の選択
- 通勤時間への配慮
- ストレス管理
- プライベートとの両立
週3~4日のパートタイム勤務から始めるのもおすすめです。体力的に負担の少ない業務を選ぶことも考えられます。通勤時間が長いと疲れがたまるので、自宅から近い職場を選ぶのも一案です。ストレス管理にも気を配り、趣味や休息、家族との時間を大切にしましょう。
まとめ
看護師は定年後も働き続けられる素晴らしい職業です。60歳以降も、豊富な経験とスキルを活かして活躍できる場所がたくさんあります。健康管理や新たなスキルの習得、人脈作りなど、今からできる準備をしっかり行いましょう。自分に合った働き方を選び、無理なく長く看護師として輝き続けられます。
» マンネリ打破!経験豊富な看護師のやりがい再発見ヒント集