現役の看護師や看護師を目指す人の中には「自分は看護師に向いているのか」と悩む人が多いです。看護師には、向いている性格や求められるスキルがあります。この記事では、看護師に向いている人の性格と必要なスキル、職場選びのポイント、看護師になる方法を解説します。
記事を読めば、自分が看護師に向いているかどうか、見極めが可能です。
看護師に向いている人の性格
看護師が向いている人の性格を紹介します。以下の性格の人は、看護師に向いています。
責任感が強い
看護師は患者の命を預かる職業であり、強い責任感が必要です。ミスが許されない緊張感の中でも、冷静な対処を求められます。他の医療職種との連携においても、重責を担う意識が欠かせません。患者や患者の家族の信頼を得るためには、誠実さと真摯な態度での取り組みも必要です。
常に最新の医療知識を学び続ける姿勢や、医療の現場に立つ責任感も求められます。責任感の強さは、看護師の基本的な資質です。
体力と精神力がある
看護師には、十分な体力と強い精神力が求められます。長時間の立ち仕事や夜勤などの体力仕事が多く、体力がなければ日々の業務遂行が困難だからです。夜勤での長時間勤務でも、体調を崩さないための体力管理が必須です。患者や家族の感情に寄り添うためにも、自分のメンタルを安定させる必要があります。
病院では頻繁に急患が運ばれてくるため、緊急事態に冷静に対応できる精神力も不可欠です。自分自身のケアを怠らず、心身のバランスを整える必要があります。休憩や睡眠が少なくても、仕事に影響が出ないようにするための自己ケアも欠かせません。
コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力は、患者との信頼関係を築くために重要です。コミュニケーション能力が高いと、患者の状況や心情を的確に理解し、適切に対処できます。チーム医療が求められる現代の医療現場においては、同僚や医師とのスムーズな連携が必須です。
高い傾聴力や共感力があれば、さまざまな患者や家族との良好な関係の構築が可能です。患者は安心感を得られるため、治療に専念できます。治療の質を高めるには、短時間で的確に情報を伝える能力も必要です。
向上心があり学び続けられる
看護師には学び続ける向上心が必要です。医療の進歩は日々進んでおり、新しい治療法や薬品が次々と登場します。継続的な自己学習で、最新の知識を身に付ける必要があります。効果的な学び方は以下のとおりです。
- 継続的な自己学習
- セミナーや研修への参加
学び続けるには、自己研鑽の時間管理が重要です。学び続けると患者へのケアの質が向上し、キャリアアップや専門性の向上にもつながります。
看護師に向いている人が持つスキル
看護師を続けていくために必要となる、以下のスキルについて詳しく見ていきましょう。
- 豊富な医療知識
- 柔軟な対応力
- 冷静な観察力
- 迅速な判断力
豊富な医療知識
看護師は患者の健康状態をチェックして適切な医療ケアを施すため、豊富な医療知識が求められます。看護師には、以下の知識が必要です。
- 解剖学
- 生理学
- 薬理学
- 病理学
- 病態生理学
- 各種疾患
- 症状の知識
- 臨床検査の原理と結果の読み方
- 画像診断の原理と結果の読み方
いずれも患者の安全と健康を守るために不可欠な知識です。知識があれば、患者の状態を正確に把握して適切に対処できます。看護師として活躍するためには、最新の医療情報を常に学び続ける必要があります。
柔軟な対応力
医療現場では予測できない事態が頻繁に起こるため、看護師には柔軟な対応力が必要です。患者の容態が急に悪化した場合、冷静な対処と適切なケアが求められます。状況に対応できる柔軟な対応力があれば、スムーズに業務を遂行し、患者や同僚からの信頼を高められます。さまざまな患者に対する適切な対応も必要です。
患者一人ひとりのニーズに応じた最適な治療法やケアプランを立てると、患者の満足度が向上します。同僚が急な事情で休んだ場合などでも、シフトを調整して対応する能力が求められます。柔軟な対応力を磨いて、さまざまな状況に対処できる看護師を目指しましょう。
冷静な観察力
看護師は、患者の状態を常にモニタリングし、小さな変化や兆候を見逃さない的確な観察力が必要です。患者の呼吸や脈拍の微細な変化に応じた迅速な対応により、重篤な状態になる前に適切な処置を施せます。科学的根拠に基づいた判断も観察力の一部です。
知識を活かして観察した情報をもとに冷静な判断ができれば、適切なケアの提供で患者の回復に貢献できます。医療の現場は緊急事態や予測できない状況の発生が多いため、精神的ストレスに負けない冷静さが必要です。冷静さを保つと、的確な判断で対処できます。
迅速な判断力
患者の容態の急変時には、看護師の迅速な判断が患者の命を左右します。救急外来では、患者が運ばれてきた瞬間に症状を観察し、優先順位を迅速に決定しなければなりません。心臓発作の場合、迅速な心肺蘇生術が必須ですが、判断には状況の的確な把握と最適な対処法の選択能力が必要です。
ストレスがある状況でも、冷静な情報収集と迅速な判断が求められます。多様な情報源から信頼性の高い情報を素早く選別する能力があれば、正確に判断できます。迅速な判断力は看護師が患者の安全を守るために不可欠です。
看護師になる方法
看護師になるには、いくつかのステップを踏む必要があります。4つのステップを詳しく解説します。
自己分析する
看護師を目指すなら、自己分析が重要です。自己分析により、以下の要素を明確にできます。
- 自分の性格・特性
- 強み・弱み
- 価値観
- 優先順位
- 仕事に対するモチベーション
- 将来の目標・ビジョン
的確な自己分析は、自分に最適なキャリアパスを見つけるために役立ちます。
» 転職成功の鍵!自己分析のやり方を知って自分の強みを見つけるコツ
資格を取得する
看護師になるには、基礎知識や技術、資格の取得が必要です。資格取得までのステップは、以下のとおりです。
- 看護学校や看護大学で単位を取得する
- 実習を通じて臨床経験を積む
- 看護師国家試験に合格する
上記のステップを経て、看護師の資格を取得できます。ただし、資格取得後も継続的な学習が求められます。キャリアアップのために、専門看護師や認定看護師資格の追加取得も可能です。資格の更新や研修に参加する必要もあります。
» 看護師の資格やキャリアアップにつながる資格について詳しく解説
専門看護師・認定看護師を目指す
専門看護師や認定看護師になると、看護師のキャリアの発展が可能です。専門看護師は高度な専門知識と技術を備えており、特定の医療分野でリーダーシップを発揮できます。認定看護師は特定の専門分野における高度な技術を備え、各分野での実践や指導、相談に対応できます。
» 認定看護師になるには?必要な要件や費用などを解説
» 専門看護師になるための基礎知識と必要な流れを解説
専門看護師になるには、大学院修士課程の修了が必須です。がん看護や精神看護などの医療現場で活躍できます。認定看護師になるには、特定の養成機関での研修受講が必要です。感染管理や皮膚、排泄ケアなど、多くの分野での幅広い活躍が可能です。最新の知識と技術を習得し続ける必要があります。
資格には、5年ごとの更新があります。
» 専門看護師と認定看護師の違いを徹底解説!
病院外での経験を積む
看護師のスキルを高めるためには、病院外での経験が重要です。異なる環境での看護業務によって、幅広い視点とスキルを得られます。看護業務の経験を積める環境は、以下のとおりです。
- 在宅医療
- 訪問看護ステーション
- 介護施設
- 地域包括支援センター
- 災害医療チーム
- ボランティア
- 国際医療支援
- 学校・企業の健康管理室
病院外でのさまざまな経験は、看護師としての成長に役立ちます。
自分に合う職場に転職する
自分に合った転職先を見つけるためには、自己分析が欠かせません。自分の強み・弱みや働きたい環境、求める仕事内容の把握により、理想の職場像が明確になります。自分の希望条件を明確にしましょう。重視するポイントをリストアップし、求人情報を絞り込むと、効率的に転職活動ができます。
» 自分に合った職場を見つける!看護師の転職
転職サイトやエージェントの活用により、多様な求人情報を手軽に検索でき、条件に合った職場を見つけやすくなります。可能であれば、面接前の職場見学がおすすめです。応募の前に労働条件や福利厚生を必ず確認し、長期的に働ける環境かどうかを判断しましょう。
職場の雰囲気や評判が気になる場合は、口コミ評価を調査すると効果的です。現職場と比較して総合的に判断し、自分に最適な職場を見つけましょう。
» 看護師はどんな仕事をしてるの?勤務先別の業務内容を詳しく紹介
【タイプ別】向いている看護師の職場
個人の性格やスキルによって、活躍できる看護師の職場は異なります。タイプ別に向いている職場を紹介します。
» 看護師の種類は何がある?仕事内容や資格取得方法など違いを解説
患者とゆっくり関わりたい人向けの職場
患者とゆっくり関わりたい人には、長期療養病棟やホスピス、在宅医療などがおすすめです。患者一人ひとりとの時間を大切にでき、じっくりとコミュニケーションを取れます。各職場の特徴は、以下のとおりです。
- 長期療養病棟
- 長期療養病棟は、急性期の治療が終わった後も、長期間にわたってケアが必要な患者を対象にした病棟です。入院期間が長い患者が多いため、患者や家族との関係が深まります。
- ホスピス
- ホスピスは、治癒を目的としない、終末期のケアに特化した医療施設です。患者が最期の時間を快適に過ごすために、身体的苦痛を緩和し、心理的・精神的なサポートを提供します。
- 在宅医療
- 在宅医療は、患者が自宅で療養を続けながら必要な医療やケアを受ける形態の医療です。患者の自宅を訪問し、患者の生活や家族と関わりながら日常生活を支えるケアをします。
各職場では、患者の体調や気持ちの変化に敏感に対応できる能力が必要です。
技術と対応力を生かしたい人向けの職場
技術と対応力を活かしたい看護師には、以下の職場環境が適しています。
- 救急病院
- 手術室
- 集中治療室(ICU)
- 緊急外来(ER)
- 高度医療専門施設
- 専門クリニック
- 訪問看護ステーション
急な容態の変化や複雑な手術が多い職場では、迅速な判断と対処が求められます。高度な医療スキルと臨機応変な対応力、専門知識なども必要です。能力を最大限に発揮でき、成長を実感しやすい環境と言えます。挑戦的な環境で自分のスキルを磨きたいと考える人におすすめです。
子どもと触れ合いたい人向けの職場
子どもと触れ合いたい人は、以下の職場が向いています。
- 小児科病棟
- NICU(新生児集中治療室)
- 小児科外来
- 小児リハビリテーション
- 小児専門クリニック
- 保育園・幼稚園の看護師
- 学校の保健室
- 児童養護施設
- 児童福祉施設
- 訪問看護(小児)
- 発達障害支援センター
- 子ども向けデイサービス
子どもの成長や回復を直接見守れるため、やりがいを感じられます。各職場で看護師のスキルや知識を生かしながら、子どもたちの健康を守ることが可能です。
» マンネリ打破!経験豊富な看護師のやりがい再発見ヒント集
生活リズムを整えたい人向けの職場
生活リズムを整えたい人には、規則正しい勤務時間が確保される職場が適しています。以下の職場では、生活リズムを保ちながら勤務できます。
- クリニック・診療所
- 保健センター
- 企業の健康管理室
- 学校の保健室
- デイサービスセンター
- 訪問看護ステーション
夜勤や不規則なシフトが少ないため、健康維持のために生活リズムを整えたい看護師におすすめです。
ルーティン作業が好きな人向けの職場
ルーティン作業が好きな人には、細かい手順に従って同じ作業を繰り返す職場が向いています。毎日の業務内容がほとんど変わらないため、作業に慣れるまでの時間が短く、スムーズに業務を進められます。看護師の経験が活かせて、ルーティン作業が多い職場は、以下のとおりです。
- 医療事務
- 診療情報管理士
- 調剤薬局事務
看護師の実務からは離れますが、決まった手順の繰り返しが多いため、日々の業務の見通しが立てやすくなります。予測可能な業務環境を求める人に最適です。日々の変化が少なくストレスを感じにくいため、長期間働き続けやすいです。
実務から少し離れたい人向けの職場
看護師の実務とは少し離れた環境で働きたい場合は、以下の職場が向いています。
- 医療機器メーカーのカスタマーサポート
- 大学・専門学校の教員
- 医療関連のライター・編集者
- 公的機関・企業の健康管理室スタッフ
- 医療コンサルタント
- ソーシャルワーカー
- 医療セミナーの講師・トレーナー
看護師の実務から離れながらも、各職場で医療知識やスキルを生かして働けます。看護師の経験を新しい形で生かしたいときに検討してください。
まとめ
看護師には、責任感と体力、精神力を兼ね備えた人が向いています。コミュニケーション能力と向上心があれば、多岐にわたる業務に携わりつつ、看護師としての成長を見込めます。キャリアを発展させたい場合は、医療知識や対応力、観察力、判断力が必要です。
看護師に向いているか確認したい場合は、自己分析をして自分の強みや弱み、価値観を明確にしましょう。自分自身の理解を深めると、看護師が自分に向いているかどうかがわかります。自分の性格やスキルに応じた医療現場を選択しましょう。