夜勤手当ゼロになっても、暮らしを整えるヒント
「転職したいけど、収入が下がったらどうしよう。」
病棟を辞める前、私が一番ドキドキしていたのはお金のことでした。夜勤手当が毎月何万円も入ってくる生活にいつのまにか慣れてしまっていて、「それがなくなったら暮らしていけるの?」という不安がずっと頭のすみに引っかかっていたんです。
でも実際に転職してみて、1年ちょっとが経ちました。今回は、50代で病棟から非常勤・万博アテンダント・地域医療連携室へと職場を変えていくなかで、私がリアルに体験したお金の変化をお伝えしたいと思います。不安な方のちょっとした参考になれば嬉しいです。
夜勤手当がなくなると、実際どのくらい収入が変わるか
看護師の夜勤手当は病院や施設によってさまざまですが、深夜1回あたり8000円から12000円ほど、月に4から5回こなすと月3~6万円が夜勤手当だけで加算されます。年収にすると36~72万円ぶんの差が出ることもあります。
私はこうでした——病棟勤務の最後の数年、月の手取りが30万円ちょっとありました。夜勤手当・残業代を含んだ金額です。転職後(地域医療連携室の常勤)の手取りは16から18万円ほどに落ち着いています。月にすると15万円、年間では150万円前後の差になっています。数字にするとなかなかの差に見えますが、正直なところ「思ったよりは少ない差」という感覚です。理由は後ほどお話しします。
収入が下がっても「なんとかなった」理由
まず大きかったのは、支出も同時に下がったことです。夜勤があったころは、「疲れているから」と外食・惣菜・タクシーにかなりお金をつかっていました。夜勤明けのコンビニや、勤務後のごほうびランチも積み重なると侮れない金額になります。転職後は体力的にゆとりが生まれたぶん、自炊の頻度が上がり、食費が自然と下がりました。
次に、「夜勤手当のある暮らし」に合わせていた固定費を見直したこと。私の場合、携帯プランを大手キャリアから格安SIMに変えました。これだけでも支出削減です。保険の見直しも同時にしていらない保険は全部やめました。お金の勉強をして、不安に思う将来のお金を書き出して、見える化しました。
体感として、「収入−10万円」より「支出−5万円」のほうが生活感へのダメージが小さいんです。収入が減っても、支出も見直せれば実質の差はぐっと縮まります。
固定費の見直し、私が実際にやった3つのこと
①携帯プランを日本通信(格安SIM)に変更。大手キャリアのままだと月12,000円超えていましたが、データ容量を落として1,500円台のプランに。仕事はPCで行うので困りませんでした。
②生命保険・医療保険の棚卸し。保険を改めて見直すと、「もう必要ない特約」や「重複している保障」がいくつか出てきました。ファイナンシャルプランナーに相談する前に、まず保険証券を全部並べて自分で比較してみたのがよかったです。
③サブスクの棚卸し。動画配信2本・音楽1本・雑誌アプリ1本が重なっていて、気づかずに月3,000円近く払っていました。使っていないものをすっきり解約して、本当に必要なサブスクだけにしました。見直してみると意外にいらないものにも課金してました。以前は必要だったかもしれないけど、今は不要。不要になってもそのままになってお金だけ払っていたものもありました。
「万博の仕事」は収入面でどうだったか
2025年、大阪・関西万博のアテンダントをしていた時期のお金の話も少しだけ。病棟を辞めたあとのつなぎとして働き始めたのですが、時給制だったため「たくさん働けばそれなりに収入になる」という感覚でした。夜勤のような夜中の勤務はなく、体は楽。でも雨の日・混雑日の体力消耗は想定外で、「体力がついていかない日もあるなあ」と感じました。こんな経験は二度とないからって、ついつい財布の紐が緩くなってしまってました。
私はこうでした——万博期間中は月によってかなり収入の波がありました。シフトが多い月は手取りで20万円以上。固定収入に慣れてきた身には「来月いくらになるんだろう」という不安もありましたが、6ヶ月以上20時間働いていたので社会保険にも加入できてましたし、万博の仕事が終わってからは失業給付も受けることができたので、助かりました。その経験があったので、地域医療連携室の仕事は、両親が高齢ということもあり、週に4日の勤務で無理なく働いています。金銭面ではかなり収入は少なくなりましたが、精神的には穏やかに過ごすことができています。
50代で転職を考えるなら、お金まわりで準備しておきたいこと
転職前にやっておけばよかったと思うことを、お金の観点で3つまとめます。
①手取りの「構成」を確認しておく。基本給・夜勤手当・残業代・各種手当のうち、転職後になくなるものはどれか。給与明細を見ながらシミュレーションするだけで、転職後のリアルな手取りが大まかに想像できます。
②生活費の「最低ライン」を把握しておく。家賃・光熱費・食費・通信費・保険など、毎月かならず出ていくお金の合計を一度計算しておきましょう。「この金額があれば普通に暮らせる」という数字を持っておくと、転職先を選ぶときの基準になります。
③半年分の生活費を預金に確保しておく。転職直後は収入が安定しない時期もあります。万博アテンダントのように月収に波がある仕事も同様。「貯金があれば焦らない」は本当のことです。私は転職前にこの点が少し不安だったので、最後の1年は意識して積み立てを増やしたり、お金の勉強もしました。
収入より「ゆとり」を選んでよかったと思う理由
転職してみて気づいたのは、「収入の数字」より「使えるエネルギーの量」のほうが、日々の暮らしの豊かさに直結するということでした。
夜勤がある頃は、稼いでいても使い道が「疲れを癒すための出費」ばかりでした。外食・マッサージ・気晴らしの買い物……それが悪いわけではないけれど、「稼いで使って疲れる」というサイクルが続いていたように思います。
今は収入が少し下がった代わりに、親のちょっとした通院に付き添えたり、孫の運動会に元気な状態で行けたり、週末に丁寧に料理できたりしています。そういう「お金では直接買えないこと」に時間とエネルギーが使えるようになりました。
私はこうでした——転職して最初の冬のボーナスが少なくなったとき、一瞬だけ「やっぱり病棟に戻ろうかな」と思いました。でも、その年の孫の発表会に笑顔で行けたことを思い出したら、後悔はまったくなかったです。50代のお金の話は、数字だけじゃないと今は思っています。
転職後のお金を乗り越えるために
転職後の収入ダウンは、準備と工夫で思っているより小さくできます。固定費を見直す、支出の構造を変える、一定の蓄えを持っておく——この3点さえ整えておけば、50代でもお金の面での不安は大幅に和らぎます。
「数字だけ見て怖くなる前に、一度暮らし全体を見直してみる」。それが私が転職を経験して、いちばん伝えたいことです。同世代のナースの皆さんに届いたら嬉しいです。
次回予告
次回は「50代からのデジタル術——苦手意識がなくなった私のパソコン・スマホ活用法」をお届けする予定です。地域医療連携室でPCを使いこなすようになるまでの試行錯誤、そして50代でも「慣れればなんとかなる」と思えた経験を、具体的な道具やアプリとともにご紹介します。またここでお会いしましょう。