私がやっておけばよかったと後悔したこと
転職してみたい気持ちはある。でも、年齢のことが気になって、一歩が踏み出せない——。
50代の看護師さんから、そんな声をよくいただきます。私も同じでした。58歳で転職活動を始めたとき、最初に頭をよぎったのは「こんな年齢で、雇ってもらえるんだろうか」という不安でした。
実際に転職してみると、「年齢は確かにハードルになることもあるけれど、それよりもっと大事な準備があった」と気づきました。今日は、私が経験してわかった、年齢をハンデにしないための3つの準備をお伝えします。
「年齢が気になって動けない」——その気持ち、よくわかります
年齢を意識するのは、自然なことだと思います。求人票に「35歳まで」とある職場も少なくないし、「若い方がいい」と思われるのでは、という不安はリアルです。
でも私は今、こう思っています。「年齢をネックにしていたのは、半分以上、自分自身だった」と。
転職活動中、いくつかの職場の採用担当者と話す機会がありましたが、「即戦力として動ける経験者が欲しい」「長く続けてくれそうな人がいい」という声も多くありました。50代看護師の持つ経験値、落ち着き、人生経験の幅は、決して弱みではないんです。
問題は、それをうまく伝えられるかどうかでした。
準備①:自分の「強み」を言葉にしておく
転職活動で最初に壁になったのは、「自己PR」でした。
「経験は20年以上あります」——それは事実です。でも、「それで何ができますか?」と聞かれたとき、私は答えに詰まりました。
長く看護師をしていると、「当たり前のこと」が多すぎて、逆に強みを見えにくくなります。バイタル測定、患者対応、記録管理、急変時の判断……。どれも「普通にやってきたこと」だから、特別に感じない。でも採用側から見れば、これは全部スキルです。
私がやっておけばよかったと思うのは、「転職活動を始める前に、自分の経験を書き出しておくこと」です。できれば「こういう場面でこういう対応をした」という具体的なエピソード形式で。A4用紙1枚で十分です。面接で詰まったとき、そのメモが必ず役立ちます。
準備②:「どんな環境なら続けられるか」を整理する
50代の転職で大事なのは、単に「就職できるか」ではなく、「入ってから続けられるか」だと思います。
私は転職活動中、「とにかく採用されれば」という気持ちが少しありました。でも実際に働いてみると、「就職の条件」よりも「日々の環境」の方が、ずっと大きく影響する。
夜勤があるかどうか。立ち仕事がどれくらいか。パソコン操作の割合は。人間関係の雰囲気は。休日は確保できるか——。私が転職先として選んだ地域医療連携室は、夜勤なし・立ち仕事なしで、定時に上がれる環境でした。それが今の私の体力や生活リズムに合っていた。
逆に言えば、「自分に合う環境の条件」を言語化していなければ、入職後にミスマッチが起きていたかもしれません。「どんな環境なら、5年後も元気に働けるか」。転職前に、ぜひ自分と向き合ってみてください。
準備③:面接での「年齢への向き合い方」を考えておく
面接で「年齢についてどう思いますか?」と直接聞かれることは、実際には少なかったです。でも「なぜ今の時期に転職を?」という質問は、ほぼ全員に聞かれました。
この質問は、年齢を問う質問と本質的に同じです。「なぜ今さら転職するの?」という意味が含まれていることが多い。
私が準備しておいてよかったのは、「年齢を前向きに語る言葉」でした。「長年の経験を活かして、より安定した環境で長く貢献したい」「体力面の変化を正直に受け止めて、自分が一番力を発揮できる場所を選んだ」——。そんな言葉を、あらかじめ考えておくと、面接で焦らずに話せます。
年齢への言い訳を用意するのではなく、「その年齢だからこそ選べた転職」として話せると、印象がぐっと変わります。
私がやっておけばよかったと後悔したこと
一番後悔したのは、「職場見学に積極的に行かなかったこと」です。可能なら職場見学はしておいた方が良いというのが私の意見です。
書類と面接だけでは、雰囲気はわかりません。「見学できますか?」と聞けばほとんどの職場は対応してくれますし、見学することで「ここは合いそう」「ここはちょっと違う」という直感が働きます。50代になると、新しい職場に「なじむ」のに時間がかかることもある。入る前に感じ取れることがあるなら、その直感を大切にしてほしいと思います。
もうひとつ。履歴書の書き方を、誰かに見てもらえばよかった、ということ。私は一人で書いて一人で提出していました。看護師の転職をサポートしているエージェントや、ハローワークの相談員に見てもらうだけで、かなり変わると思います。「自分でやらなきゃ」と思い込まなくていいんです。
年齢という「実績」が、味方になる
転職活動を経験してみて、今は「50代での転職は、難しいけれど無理ではない」と確信しています。
年齢をハンデに感じるのは、最初だけです。準備をして、自分に合う職場をしっかり探せば、「50代看護師」は強みになります。
私自身、地域医療連携室で「看護師さんの視点で話してもらえると安心です」と言われるたびに、20年以上のキャリアが形を変えて生きているのを感じます。あのとき積み上げた経験は、無駄じゃなかった——そう思える瞬間が、確かにあります。
年齢を隠す必要はありません。堂々と「50代です、これだけ経験してきました」と言える準備をして、動いてみてください。あなたのキャリアを必要としている職場は、きっとあります。
最後まで読んでくださってありがとうございます。また次回、ここでお会いしましょう。
次回予告
次回は「看護師資格を活かせる働き方は病棟だけじゃない。選択肢10個」をお届けする予定です。病棟以外でどんな働き方ができるのか、私自身の体験も交えながら、具体的にご紹介します。転職を考えているけれどどこに行けばいいか迷っている方に、少しでもヒントになれば嬉しいです。またここでお会いしましょう。