3つのパターン(実体験から)
「あの転職、もう少し慎重に考えればよかったな」——夜勤明けに自宅の食卓でふっと、そんな後悔が頭をよぎった経験はありませんか。私も、看護師としてここまでに何度か転職を経験してきましたが、今振り返ると「同じ失敗は繰り返したくないな」と感じる場面がいくつかあります。
今日は、私自身の体験と、同世代の仲間と話す中で見えてきた「50代の転職で後悔しがちな3つのパターン」について、できるだけ正直なところをお話ししてみたいと思います。これから働き方を見直す方の、ちょっとした参考になれば嬉しいです。
50代の転職、私が何度かの経験で気づいたこと
20代や30代の頃の転職と、50代の転職は、明らかに性質が違います。若い頃は「合わなかったらまた次を探せばいい」という余地がありましたが、50代になると、心と体の余力にも、家族や介護のスケジュールにも、それほど余裕がありません。1回の転職が、その後の数年間の暮らしを大きく左右する——そう気づいたのは、病棟を辞めて万博のアテンダントに飛び込み、さらに地域医療連携室に移った今だからこそです。
だからこそ、求人票の数字や肩書きに引っ張られず、自分にとっての「働きやすさ」を丁寧に確かめることが、何より大切だと感じています。ここからは、私が実際に「これは後悔したな」と感じた、3つのパターンを順にお話しします。
後悔パターン①「給与の数字」だけで決めてしまう
一番やってしまいがちで、私自身も過去に苦い経験をしたのが、月給や年収といった数字だけで判断してしまうパターンです。求人票に並ぶ金額は、確かに分かりやすい比較材料です。でも、夜勤回数の多さや、休日出勤の頻度、住宅手当の有無など、「給与の中身」までは数字だけでは見えてきません。
私が以前、給与アップに惹かれて選んだ職場では、月の夜勤回数が想定より多く、結果として体に大きな負担がかかってしまったことがありました。今は、求人票を見るときに「総額」だけでなく、「基本給÷想定勤務日数」「夜勤手当を除いた額」といった内訳に目を向けるようにしています。
後悔パターン②「職場見学」を省略して入職する
次に多いのが、職場見学をせずに入職してしまうパターンです。50代になると、面接日程の調整も気を遣いますし、紹介会社から「ここはとても評判が良いですよ」と言われると、つい「見学はいいかな」と省略してしまいがちです。でも私は、これも何度か苦い経験をしました。
実際に職場の空気を体感すると、求人票には書かれていない情報がたくさん見えてきます。スタッフ同士の挨拶のトーン、休憩室の雰囲気、ナースステーションの整理整頓の度合い。「ここで毎日働いている自分」を想像できるかどうかは、現場に立ってみて初めて分かることです。今は、必ず職場見学をお願いし、できれば自分が働く時間帯に合わせて見せていただくようにしています。
求人票に60歳まで幅広く働いていると書いてあったが、実際に行ってみると、病院のリニューアルに伴い、看護師もリニューアルされていたというケースもあり、すぐに場違いだなと悟ったことがあります。
後悔パターン③「自分の体力・年齢」を過信する
3つ目は、自分の体力や年齢の変化を過小評価してしまうパターンです。「まだまだ若い人と同じように働ける」という気持ちは、私も嫌というほど身に覚えがあります。でも50代に入ると、夜勤明けの回復に必要な時間や、立ち仕事の負担、細かな業務の集中力など、確実に若い頃とは違ってくる部分があります。
私は病棟を辞める少し前、夜勤明けに膝の痛みでうまく歩けない朝が続いた時期がありました。その時に「これは無理を続けるべきではない」と気づけたのは、本当にギリギリのタイミングだったと思います。新しい職場を選ぶ時には、「3年後の自分でも続けていけるか」を、冷静に問い直すようにしています。
求人票の数字だけで判断しないために、私が今やっていること
後悔を減らすために、最近の私が必ずやっていることが3つあります。ひとつ目は、求人票を見たら必ず「夜勤回数」「残業時間」「有給取得率」の3点を質問することです。数字で書かれていない場合は、紹介会社や面接で具体的に聞きます。聞きにくいと感じるかもしれませんが、入職後にギャップが大きいほうが、よほど辛い思いをします。
ふたつ目は、口コミサイトや同業の仲間からの情報を、複数の視点で照らし合わせることです。ひとりの感想に引っ張られないよう、必ず2~3人の声を集めるようにしています。そしてみっつ目は、「3年後の自分が、今の自分にどう声をかけるか」を、1日寝かせてから自問することです。即決を避けるだけで、後悔の質は大きく変わると感じています。
後悔しない転職活動のために、心に留めておきたいこと
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。50代の転職は、若い頃のような「とりあえず動いてみる」という選択肢が取りづらい分、ひとつひとつの判断にどうしても重みが出てきます。だからこそ、数字に振り回されず、職場の空気を自分の目で確かめ、自分の体力の変化に正直になる。この3つを意識するだけで、後悔の数はずいぶん減らせると、私は感じています。
完璧な転職などありませんし、何度かは「思っていたのと違ったな」と感じる日もあるはずです。それでも、自分の心と体の声を聞きながら、ゆっくり選んでいけば大丈夫。同世代の仲間として、これから働き方を見直すあなたの一歩を、心から応援しています。
次回予告
次回は「夜勤がつらい50代へ。体力的にラクな看護師の働き方5選」をお届けする予定です。夜勤の回数が体に響くようになってきた50代の仲間に向けて、私自身が実際に検討した働き方や、周りの同世代ナースが選んでいる選択肢を、それぞれの良い点・気をつけたい点とともにご紹介しようと思います。また同世代の仲間として、ここでお会いできるのを楽しみにしています。