仕事も子育ても一段落した先にある「自分の時間」の使い方
「これからの時間、どうやって使えばいいのかな」——夜勤がなくなり、子どもが独立し、ふと食卓に一人で座っている自分に気づいたとき、そんな問いが心の奥に静かに浮かんできました。あれだけ忙しかった毎日が落ち着いて、ようやく自分の時間が手に入ったはずなのに、なぜか少しだけ寂しい。同世代の友人と話しても「分かる、私もそう」と頷きあう、50代ならではの感覚かもしれません。
今日は、私自身が感じてきた「50代の孤独感」と、その向き合い方について、同世代の仲間として率直にお話ししてみたいと思います。
「ふと気づくと、ひとり」が増える50代
20代・30代の頃は、忙しさに追われて「ひとりの時間」を意識する余裕すらありませんでした。仕事と子育てと家事に追われ、自分のために30分が確保できれば奇跡のような日々。ところが50代に入ってからは、その忙しさが少しずつほどけていきます。子どもが自立し、夜勤がなくなり、両親の介護にも生活のリズムができてくると、「ぽっかりと空いた時間」が突然目の前に現れるようになりました。
今まで忙しさに追われて、どうやっって生活してたのかさえ思い出せないし、同じ1日なのにこうも時間の流れが違うんだと思う。
嬉しいはずなのに、その時間にどう向き合えばいいのか分からない。「私はこの時間に、本当は何がしたかったんだろう」——そう問い直すことが、50代の孤独感の入り口だと、私は感じています。
孤独は「悪」ではなく、人生のフェーズが変わったサイン
孤独感を感じると、すぐに「私は何かが足りないのかも」と自分を責めてしまいがちです。でも私は最近、孤独は悪いものではなくて、「人生のフェーズが変わりましたよ」という体からのサインなのだと考えるようになりました。
若い頃の「埋まっている時間」が当たり前ではなくなった、というだけのこと。そう捉え直すと、孤独感に対する怖さが少しだけ和らぎます。「寂しい」と感じる自分を、無理に明るくしようとせずに、そっと観察してみる。それだけで、心の風通しが良くなる感覚があります。
自分の時間を「埋める」から「味わう」へ
ひとりの時間が増えると、つい「何かで埋めなきゃ」と焦ってしまいます。私もしばらくは、SNSをスクロールしたり、動画を流し見したりして、時間を「埋める」ことに必死でした。でも気づいたんです。埋めれば埋めるほど、心の真ん中はかえって満たされなくなる、ということに。
忙しい方が性に合ってるのかもとか考えて、いろんなことを考えたりしたけど、ほんと余計に疲れる感覚があります。
そこで意識を変えて、「埋める」から「味わう」へとシフトしてみました。お気に入りのお茶を丁寧にいれる、窓の外をぼんやり眺める、好きな音楽を一曲だけ聴いてみる。何かを成し遂げようとしないひと時を、自分にゆっくりと許してあげる。それだけで、ひとりの時間は「持て余すもの」から「自分に戻る時間」へと変わっていきました。
ひとりで過ごす日の、小さな儀式
私には、休日にひとりで過ごすときの「小さな儀式」があります。湯気の立つ温かいコーヒーをいれて、いつもの席に座る。手帳を開いて、今日感じたことを2~3行だけ書き留める。そして、寺社巡りの写真集をぱらりとめくる——たったそれだけです。派手なことは何もしていないのですが、この20分ほどの時間が、その日の自分の調子をぐっと整えてくれます。
この小さな儀式があることで、ひとりの時間が「空白」ではなく「自分のための時間」に変わります。派手な予定がなくても、「今日も自分を大切にした」と感じられる。50代になってから、こうした静かな満足感が、心の安定にとても大事だと気づきました。もし「ひとりが寂しい」と感じる日があったら、まずはお気に入りの一杯を、丁寧にいれるところから始めてみるのがおすすめです。
緩やかな繋がりを、無理なく持ち続ける
孤独感への対処として「人と会う」というのは王道ですが、50代になると若い頃のような頻度では人と会えなくなります。家族の都合、体調、自分のペース——全部を整えてからじゃないと出かけられない日も増えました。私自身、若い頃のように「今夜飲みに行こう」「ランチはいつ行く?」と気軽に誘えなくなった寂しさを、ずいぶん感じました。
予定を立てていても、親の具合が悪く慣れば、キャンセルしなきゃいけないし、自分の体調のこともあるし、ほんと、疲れが取れにくくなってきているのを感じます。
だから私は、「濃い繋がりを少しだけ」「緩やかな繋がりは大切に保つ」を意識しています。月に一度だけ会う友人、ときどきLINEで近況を送り合う同期、SNSで「いいね」を押し合う遠方の知り合い。どれも、深い対話ではなくても、「私のことを思い出してくれる人がいる」という感覚が、孤独感の薄い緩衝材になってくれます。頑張って関係を維持しようとせず、「自然に続くものを大切にする」くらいの距離感が、私には今ちょうど良いと感じています。
50代の孤独と、上手につき合うために
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。50代の孤独感は、消そうとして消えるものではなく、向き合い方を少し変えることで、「自分を取り戻す時間」へと姿を変えてくれるものだと、私は感じています。
もし最近、ふとした瞬間に寂しさを感じることが増えてきたなら、それは新しい人生のフェーズの始まりかもしれません。焦って埋めようとせず、まずは自分に小さな儀式をひとつ、贈ってあげてください。今日も、自分のペースで、ぼちぼち過ごしていきましょう。
次回予告
次回は「西国三十三所を巡って気づいた、疲れた心に効く“手放し”の習慣」をお届けする予定です。看護師として働き続ける中で、私が長年大切にしてきた寺社巡りの時間。西国三十三所の旅で出会った、「持ちすぎている自分」を少しずつ手放していく感覚について、実際の体験を交えてお話しします。またここでお会いしましょう。