看護師

巡礼の旅で学んだ、家族を支える私の“心の整え方”

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58歳ナースが見つけた、手放しと向き合いのヒント

家族の顔が思い浮かぶたびに、胸の奥がぎゅっと締まることがある。親の介護のこと、孫たちのこと、仕事のこと。どれも大切で、どれも手放せなくて——そんな夜が続いていたころ、私はふと思い立って巡礼の旅に出ました。

50代は何かと将来のことを考える時期ですよね。ふとした瞬間に急に寂しくなったり、悩んでも仕方ないことで悩んだり。

お遷路でも、西国三十三所でも、歩きながらひたすら考えました。「私はいまどこに立っているのだろう」と。結論を出すためではなく、ただ歩く。ろうそくの香り、鈴の音。それだけを感じているうちに、いつのまにか心が少しずつほどけていくのがわかりました。

巡礼で見つけたのは、特別な答えではありませんでした。「家族を支えるために、まず自分の心を整える」という、看護師として20年以上ケアを続けてきた私が、意外と後回しにしてきたシンプルなことでした。

巡礼中、私が一番しんどかったのは「心配性」だった

西国三十三所の第一番・青岸渡寺の長い石段を登りながら、頭の中では母の薬の残量を数えていました(笑)。せっかく来ているのに、心ここにあらず。

参拝して休憩していると、隣に座った一人の女性に言われた一言が忘れられません。お一人ですか?と声をかけられ、お互いのご朱印帳を見ながら話をしました。なんとなく話しやすい雰囲気の中、「この年になると自分だけでは解決できない、色々悩みが出てきますよね。」と言った時に、「お参り中くらい、お大師さんに預けてきはったら?」と。

私はそれまで、「心配することが家族への感情」だと思っていたふしがありました。でも、心配しすぎて疲弊した私が家族の前に立っても、誰も幸せにはなれない。そのことに、旅の中でようやく気づけた気がします。

自分だけの時間を持てる時には、思い存分楽しまなきゃ。

「手放す練習」としての巡礼

お遷路では「同行二人(どうぎょうににん)」という言葡があります。弘法大師と共に歩く、という意味ですが、私なりに解釈しました。「全部ひとりで抱え込まなくていい」ということだ、と。

病棟時代、私は引き継ぎ漏れが怖くて、いつも仕事を持ち帰る気持ちがありました。地域医療連携室に移ってからも、最初のうちはその思いが抜けなくて。キリの良いところまでやって帰ろう。でも巡礼を続ける中で、「今日の自分にできることをする。残りは明日に渡す」という考え方に変わってきました。キリのいいところまでということが、単なる自己満足でしかないなと思えるようになりました。それなら、終了時間から逆算して、少しでも早く終わらせようと思うようにしました。

家族への心配も同じです。心配をゼロにはできないけれど、「今夜自分にできることは何か」に絞る。それだけで、ずいぶん楽になりました。

帰宅後の「10分の間合い」を作るようにした

巡礼から帰った日、私は一つだけ習慣を変えました。仕事や外出から家に戻ったとき、すぐに家族の用事に飛び込まず、10分だけ自分のための時間を取ること。

一呼吸整えてから、家のことに切り替えるようにしました。忙しく帰ってきてそのままの忙しさで家のことをすると、ずーっとしんどい、忙しいままで過ぎてしまいます。

この「間合い」を挑むようになってから、気持ちの切り替えができ、家族への言葉がやわらかくなったと感じます。娘に「最近穏やかだね」と言われたときは、内心ガッツポーズでした(笑)。

家族に「ありがとう」を声に出す習慣

看護師は感謝を言葉にする訓練を受けています。でも不思議なもので、近い家族ほど「ありがとう」が出てこなくなる。

お遷路中、納経所でご朱印をいただくたびに「ありがとうございます」と言う練習が、日常の感謝を声に出す筋トレになりました。

仕事の時でも、何かしてもらったり、推しせてもらった時に「すみません。」が先に出るのですが、「ありがとうございます。」に変えるだけで、気持ちが楽になった気がします。

今では意識して、一日に一回は家族誰かに「ありがとう」と言うようにしています。孫が水を持ってきてくれたとき、母が「ごはんおいしかった」と言ってくれたとき。小さなことでも声に出す。仕事でも「ありがとう」それだけで、その場の空気がちょっと変わる気がするのです。

心を整えることは、家族への貢献でもある

58歳になった今、私がようやくわかったのは、「自分を後回しにすることが感情ではない」ということです。

看護師として患者さんを支えてきた20年超。家族のために走り続けてきた時間。それは誤りでもあるけれど、同時に私自身の心のケアをずっと先送りにしてきた年月でもありました。

巡礼の旅は、そのことを静かに教えてくれた時間でした。歩きながら手放し、手を合わせながら向き合う。自分の心が整っているとき、家族への関わり方もやさしくなれる。当たり前のことかもしれないけれど、体で覚えるまでに何年もかかりました 笑。

同じように「家族のために」と走り続けてきた50代の方に、伝えたい。あなたの心を整えることは、わがままじゃないよ、と。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

また次回、ここでお会いしましょう。

次回予告

次回は「看護師を続けてよかった、と思った瞬間—58歳の私が感じた、資格と経験が生きる場面」をお届けする予定です。地域医療連携室での日々の中で、看護師としてのキャリアがこんなところで役立つんだ、と実感した出来事をお話しします。またここでお会いしましょう。

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  • この記事を書いた人

きよたかナース

40歳で看護師免許を取得。 50代で転職を経験し、現在は地域連携室で看護師事務として週4パート勤務中。 転職エージェントもハローワークも実際に使った経験から、50代ナースの転職をリアルに発信しています。 このブログでは、私が実際に経験した転職活動をもとに ・50代看護師が転職エージェントを使うときのリアルな話 ・転職エージェントとハローワーク、どちらが合うか ・介護と仕事を両立しながら働く50代の日常 などを発信しています。

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