夜勤なし、立ち仕事なし。57歳からの新しいスタート
「看護師を続けたいけど、夜勤はもう体が無理。病棟の忙しさについていけない。かといって、資格を捨てるのはなんとか避けたい」——そんな葛藤を抱えたことはありませんか?
私は57歳で病棟を退職し、大阪・関西万博のアテンダントを経験した後、2026年4月から市立病院の「地域医療連携室」に看護師枠の事務として勤務しています。夜勤なし、立ち仕事も最小限。それでいて、看護師の経験と資格がちゃんと活かせる職場です。今日は「地域医療連携室って何をするところ?」という素朴な疑問にお答えしながら、私の実体験をお伝えしたいと思います。
地域医療連携室って、何をする場所?
「地域医療連携室」という名前を初めて聞いたとき、私もピンときませんでした。病棟でも外来でも手術室でもない、なんとなく「事務っぽい場所」というイメージしか持っていなかったのです。
簡単に説明すると、病院と地域(かかりつけ医、訪問看護ステーション、介護施設など)の「橋渡し役」をする部署です。入院患者さんの退院後の療養先を調整したり、他の医療機関からの患者さんの受け入れ窓口になったり、ケアマネジャーや介護施設のスタッフと連絡を取り合いながら、患者さんが安心して地域に帰れるようサポートします。
「退院支援」「在宅支援」「医療ソーシャルワーカーとの連携」——こうした言葉が飛び交う場所です。電話応対、書類作成、各部署への連絡調整など、仕事の大半はデスクワーク。病棟の緊張感とは違う、静かな集中と丁寧な言葉遣いが求められる職場です。
看護師として採用されて、最初に驚いたこと
採用面接のとき、「看護師資格を活かした事務職」という説明を受けました。「事務職なのに看護師資格が必要?」と正直思いました。でも実際に働き始めてみると、その意味がすぐに分かりました。地域の開業医からくる診療情報提供書の内容が把握できる。内容を理解した状態で、医師の書いた診療情報に誤字・脱字がないかチェックできる。
退院調整の業務では、患者さんの病状・服薬内容・ADL(日常生活動作)・リスクなどを読み解いて、適切な療養先に繋ぐ必要があります。「この方の状態で、施設入所は可能か?」「在宅でどんなケアが必要か?」——そういう判断の場面で、病棟で培った医療知識がそのまま役に立つのです。
私の仕事内容(ざっくり)
09:00 出勤・メールチェック・当日の調整案件を確認
午前中 診療情報提供書依頼を担当医師へメールで連絡
書類確認・電話対応
12:00 昼休憩(1時間)
午後 書類作成・データ入力・サマリー確認
16:30 翌日分の業務準備・引き継ぎ事項の共有
17:30 退勤
夜勤はありません。緊急呼び出しもほとんどありません。定時で上がれる日がほとんどです。最初の頃は「こんなに帰れていいの?」と戸惑ったほどです。病棟にいた頃は、定時に帰れることの方が珍しかったのですから。
「病棟との違い」を感じた瞬間
病棟では、急変対応や深夜の緊急処置など、常に「今ここに集中する」ことが求められます。地域医療連携室の仕事はそれとは対照的で、「先を見越して動く」「人と人の間を丁寧につなぐ」ことがメインです。
最初の一週間は、その感覚の違いに少し戸惑いました。誰かが急に倒れるわけでも、すぐに手を動かす必要があるわけでもない。でもその分、電話口での言葉選びや、書類の丁寧さや、相手の立場を想像して動くことがとても大切になります。
ある日、ご家族から「お母さんをどこに預けたらいいのか全然分からなくて、不安で……」と泣きながら電話をいただいたことがありました。病棟にいたときと同じように、まずは話を聞く。焦らせない。一緒に考える。スキルや器具は何も持っていないのに、看護師として培った「人への接し方」がそこにありました。「ここでも、ちゃんとケアができる」と感じた瞬間でした。
看護師資格は、こんなふうに活かされています
地域医療連携室では、必ずしも看護師資格が「必須」の部署ではありません。社会福祉士・医療ソーシャルワーカーが中心の病院も多いです。でも、看護師枠での採用が増えているのには、ちゃんと理由があります。
▷病棟スタッフとの連携がスムーズ(共通言語・経験があるため)▷患者さんの病状・治療内容を自分で読み解ける▷退院後のリスクを医療的視点で評価できる▷ご家族への説明が分かりやすく、信頼を得やすい▷在宅・施設へのスムーズな引き継ぎ書類が書ける
特に「病棟スタッフとの連携」は、現場では大きな違いになります。同じ看護師として話ができると、情報の共有がずっと早くなる。「あの患者さん、昨日から少し歩行が不安定なんですよ」という一言を受け止めて、退院先の選択に反映させる——そういう細かい場面で、自分の経験値が静かに役に立っていると感じています。
「夜勤なし」で働き続けることを、恥じなくていい
「看護師なのに夜勤を外れるのは、逃げているのかな」と思っていた時期が、私にもありました。でも今は、そんな考えは手放してしまっていいと思っています。
夜勤が続けられる体であることは、素晴らしいことです。でもそれが難しくなったとき、看護師としての経験と資格を別の形で社会に還元できる場所は、確かに存在します。地域医療連携室は、その一つです。
57歳の私が、今もちゃんと「看護師として役に立てている」という実感を持って働けている。それが一番の答えだと思っています。もし「病棟はもう限界だけど、完全に離れるのは惜しい」と感じているなら、ぜひ一度この働き方を調べてみてください。あなたの経験は、病院の外でも、絶対に必要とされています。
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