「あのとき、夜勤明けの体を引きずって帰る毎日が、まさか自分にとっての“当たり前”だったなんて」。地域医療連携室に移って一ヶ月が過ぎた今、ふとそう感じる瞬間があります。57歳で病棟を辞めて、2025年は大阪・関西万博のアテンダントを経験し、2026年4月から市立病院の地域医療連携室で看護師枠の事務として働き始めた私の、ある平日の一日を、今日はそのまま順番にお話ししていきますね。「連携室って結局どんな雰囲気?」「病棟と比べて、暮らしはどう変わるの?」と気になっている同世代の方に、少しでも参考になればうれしいです。
朝の支度から出勤まで
朝は6時に起きて、両親の朝食の準備をします。お味噌汁は毎日欠かさず具沢山の味噌汁を作ります。
昼ごはんは、私のお弁当のおかずを多めに作って昼に食べれるように準備しておきます。両親も自分で電子レンジを使えるので、私が出る頃には「いってらっしゃい」と笑顔で見送ってくれる。病棟で夜勤明けにふらふらと帰っていた頃の朝とは、まるで別の景色です。
通勤は自転車か徒歩で、ドアtoドアで10分ほど。徒歩で家から近い職場を選んだことが、思った以上に体を救ってくれています。8時40分には病院に着いて、白衣ではなく私服のため、着替える時間も不要。着て行く服には気を使いますがとても楽です。
8:40~10:00:その日の“流れ”をつくる時間
8時30分に出勤を打刻して、まずパソコンを立ち上げ、メールと院内グループウェアの確認から一日が始まります。前日の夕方以降に届いた、地域のかかりつけ医からの紹介状、ケアマネジャーさんからの問い合わせ、訪問看護ステーションからの連絡——。案件ごとに優先順位をつけて、その日の動きの“流れ”を頭の中で組み立てていきます。
9時を過ぎる頃から、地域の医院や病院からくる、診療情報の依頼のFAXの処理をします。自院の医師からの他院に対しての診療情報依頼を連絡します。——電話や院内メールで、丁寧に対応していきます。
書類の優先順位、これはほんと大事。手術で一刻も早く情報が欲しい場合もあるからです。電話対応は、相手の顔がみえないので、声のトーンや口調に気をつけています。電話対応は、短い時間で重要なことを聞き逃さないことが必要なため、系統立てて情報をメモしていきます。意外に難しいです。みんなすごく早口に感じるのは、私だけかな?って思います😅
人と人をつなぐ電話と書類
午前中の中盤は、電話と書類の時間です。退院予定の患者さんのご家族と、面談の日程を調整したり、受け入れ先候補の施設に空き状況を問い合わせたり、訪問看護の導入が必要な方の情報をまとめたり。電話の口調ひとつで、相手の安心感がまるで違うことを、改めて学んでいる毎日です。
病棟にいた頃の電話は、どこか急いでいて、要点だけを伝えるトーンになりがちでした。けれど、地域医療連携室の電話は違います。「お母さまの退院後の生活、どんなことが一番ご心配ですか?」そう静かに聞ける時間が、ちゃんとあるのです。
11時を過ぎたあたりから、退院サマリーや診療情報提供書の確認作業が増えてきます。医師の書いた文章を読みこんで、訪問看護やケアマネジャーに伝えるための要点をまとめる。ここでも、看護師として処置や薬剤の名前を理解できることが、確実に時間を短縮してくれています。
12:00~13:00:きちんと座って、ご飯を食べる
正直に言うと、これが今の働き方で、一番感動していることのひとつかもしれません。12時になったら、お弁当を持って休憩室に行き、椅子に座って、温かいお茶を飲みながらゆっくり食べる。病棟にいた頃は、PHSを首から下げたまま、立ったまま、五分でおにぎりを口に押し込む日が普通でした。
今は、同じ部署のソーシャルワーカーさんやケアマネジャーさんとお弁当を広げながら、雑談をする余裕まであります。「最近、お孫さんは元気にされてますか?」というたわいもない会話が、午後の仕事のための、思いがけない栄養になっていると感じます。“きちんと食べる”という当たり前が、こんなに心と体を整えてくれることを、50代後半になって初めて知りました。
午後は“調整”と“先回り”の時間
午後は、書類作成とデータ入力が中心になります。退院後のサービス導入計画、地域包括支援センターへの情報提供書、病院内の各部署への引き継ぎメモ。一つひとつは地味ですが、これがきちんと整っていないと、退院後の患者さんが地域でつまずいてしまうので、神経を使う時間でもあります。
15時頃には、ケアマネジャーや訪問看護ステーションへの確認電話が増えてきます。「来週水曜の退院、訪問看護の初回訪問は当日で大丈夫でしょうか?」「ご家族の見守りが難しい時間帯はありますか?」病棟と地域の真ん中に立って、両側の言葉を翻訳していく感覚です。
16時を過ぎる頃から、その日のうちに片づけたい案件と、明日に持ち越す案件を仕分けていきます。「先回りして動く」というのが、この部署の合言葉のようなもの。翌日の自分や、引き継ぐ同僚が困らないように、一行のメモをきちんと残してから席を立つ。病棟で身につけた申し送りの感覚が、ここでもしっかり活きています。
17:30の退勤後、暮らしが戻ってきた
17時30分に退勤打刻をして、病院の通用口を出ます。外がまだ明るい時間に病院を出る——この感覚を取り戻すまでに、少し時間がかかりました。病棟にいた頃は、退勤の時間にはもう陽が落ちていることがほとんどで、空が明るいうちに帰る自分というのが、なかなか想像できなかったのです。
帰り道のスーパーで、両親の好きなお惣菜を一品だけ追加で買って、夕方の家に帰ります。両親と「今日はどうだった?」と短い会話をして、夕食を温めて一緒にいただく。孫からのLINEに、ゆっくり返事を打つ余裕もある。そういう何でもない夜が、毎日きちんと続いていく。それが、いま私が一番ありがたく思っている変化です。
夜勤がなくなったことで、寝る時間と起きる時間が固定されました。睡眠リズムが安定したからか、肩こりや頭痛も少しずつ減っていて、土日にぐったり寝込む必要も減ってきたのです。「夜勤を続けないと一人前じゃない」と思っていた頃の自分に、そっと教えてあげたいくらいです。
ここまで読んでくださってありがとうございます。時間を細かくお伝えしましたが、本当にお伝えしたかったのは、「同じ看護師資格で、こんなに穏やかな一日の流れが手に入る選択肢もありますよ」ということでした。夜勤の体力勝負からは離れて、人と人を丁寧につなぐことに集中できる時間は、思った以上に自分の心を整えてくれます。私はここで、「看護師として残りの10年をどう使いたいか」を、はじめてゆっくり考えられるようになった気がしています。
もしあなたが、「もう病棟は限界だけど、看護師でいることはやめたくない」と感じているなら、地域医療連携室という選択肢を、ぜひ一度のぞいてみてください。あなたが30年かけて磨いてきた経験は、夜の病棟の外にも、ちゃんと必要とされる場所があります。手取りの給料は、病棟で働いていた時とは、かなり差がありますが、とても充実した日々を過ごすことができています。